[2019_11_25_05]【社説】県職員にも金品 これも原発の闇なのか(東京新聞2019年11月25日)
 
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【社説】県職員にも金品 これも原発の闇なのか

 関西電力トップらに、多額の金品を贈っていた福井県高浜町の元助役(故人)のばらまきは、県職員にも及んでいた。高浜原発立地の功労者という元助役。原発マネーとの関連はあるのだろうか。 
 福井県の歴代幹部ら百九人が、元助役から金品を受け取っていた。三十年前にさかのぼっての調査とはいえ、尋常な数ではない。白昼堂々土木部内でやりとりされたケースもあるという。
 受領された金品は、現金、商品券、小判、仕立券…。金額や値段の差はあれ、関西電力トップら二十人が、元助役から計約三億二千万円相当を受け取っていたというケースと同じである。
 菓子折りの底に商品券という時代劇まがいのやり方や「どう喝されて仕方なく」という言い訳も。
 受け取っていたのは、主に人権にかかわる福祉部門や教育委員会の職員で、原子力行政を担当する安全環境部との直接のかかわりは確認されていないという。
 だが最高額(二十万円相当)は、県民生活部から安全環境部へ移った職員の異動の際に渡されていた。
 県の調査報告書は「金品受領の幹部らが元助役に便宜を図った事実は確認されず、公共工事発注などへの元助役の影響も認められない」と結論づけた。本当にそうなのか。いずれにしても、問題なのは資金の出どころだ。
 税務当局による関電問題の調査過程で、原発関連工事を請け負う高浜町内の建設会社から、元助役に手数料の名目で約三億円が渡っていたことが判明している。
 関電から出た工事代金、すなわち電気料金が、元助役を介して関電トップに逆流していたのではないかという「原発マネー還流」疑惑である。
 関電が元助役との関係を異常なまでに重視したのも、高浜原発を立地する高浜町と「良好な関係」を保ちたかったからという。
 立地自治体の一つとして、例えば原発再稼働の可否を最終的に判断するのは、事実上、県である。福井県は高浜原発の命運を握っていると言えるだろう。
 元助役と関電の関係性を見る限り、県職員に渡った金品の資金として、原発マネーが使われた可能性は否定できない。
 元助役を特異な存在として、「死人に口なし」で幕引きにしてはいけない。贈られた金品と原発マネーは関連があったのか。あったとすれば、何のためだったのか。徹底究明を求めたい。

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