[2019_10_29_01]第三者委、原発マネーの解明焦点=後任社長選びも急務−関電金品受領問題から1カ月(時事通信2019年10月29日)
 
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第三者委、原発マネーの解明焦点=後任社長選びも急務−関電金品受領問題から1カ月

 関西電力の幹部らが高浜原発のある福井県高浜町の森山栄治元助役(故人)から多額の金品を受領していた問題が発覚して1カ月がたった。会長だった八木誠氏、岩根茂樹社長を含む幹部6人が辞任に追い込まれる一方、外部の弁護士から成る第三者委員会が年内をめどに調査結果をまとめ、再発防止策を提言する。第三者委がどこまでさかのぼって「原発マネー」の真相を解明できるかが焦点となっているほか、後任の社長選びも急務だ。
 関電は9月27日に金品受領問題を初めて公表。内容が不十分と批判を浴び、受領した幹部の氏名や金額の一部を後日発表するなど説明が後手に回った。「断ると激高された」「特別扱いする必要があった」(岩根社長)など、地元の理解が不可欠な原発運営のため、森山氏の顔色を常にうかがういびつな関係も浮き彫りになった。
 これまでの取材で、福井県内の美浜原発と大飯原発の幹部らも森山氏から品物を受け取っていたほか、関電子会社役員の金品受領や90年代の同様事例も判明した。森山氏に資金提供していた高浜町の建設会社「吉田開発」は、見返りに同氏を通じて原発関連工事の情報を得ていたとされる。
 ただ、金品受領と受注の因果関係や、金品が贈られ始めた時期や経緯など不明な点は多い。元検事総長で第三者委委員長の但木敬一弁護士は、退職した幹部らへの聞き取り調査も示唆しているが、他界したOBも多い中、真相究明がどこまで進むか疑問視する声も上がっている。
 この問題では、昨年9月に社内調査で監査役が過去7年間の金品受領を把握していたにもかかわらず、事態を過小評価し、取締役会に報告していないなどガバナンス(企業統治)の欠如も露呈した。
 筆頭株主の大阪市の松井一郎市長は「第三者委で株主の利益を損なう事案が発見されれば株主代表訴訟で責任を問いたい」と指摘する。会社法に詳しい加藤真朗弁護士は「今後、第三者委がどこまで調査できるかが重要。再発防止のために具体策を策定できるかどうかもポイントだ」と話す。
 第三者委の調査報告後に辞任を表明している岩根社長の後任選びも焦点となる。岩根社長は28日の決算会見を体調不良を理由に急きょ欠席した。関電は今後、人事・報酬等諮問委員会を通じて、次期社長を選定する方針だが、原子力事業本部を中心とした幹部の大量離脱で難航も予想される。
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