[2019_10_03_07]「徹底解明を」「体質改めろ」=刑事責任のハードル高く−関電金品受領で専門家(時事通信2019年10月3日)
 
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「徹底解明を」「体質改めろ」=刑事責任のハードル高く−関電金品受領で専門家

 関西電力の幹部ら20人が福井県高浜町の元助役(故人)から3億2000万円相当の金品を受け取った問題で、2日公表された社内調査報告書には、原発の誘致や地域の取りまとめに関わった「実力者」との癒着の実態が記されていた。
 同社の危機管理意識の低さも明らかとなり、専門家からは「徹底解明を」「組織体質を改めるべきだ」との声が相次いだ。
 ジャーナリストの大谷昭宏氏は、関電幹部に金品提供と暴言・どう喝を繰り返し、存在感を高めた元助役との癒着について「背景を徹底的に解明しなければ本質的な問題の解決にはならない」と指摘する。
 「原発の安全性への国民の不安は募るばかりだ」として、ほかの電力会社についても不透明な「原発マネー」が行き来していないか調べる必要もあると訴えた。
 「判明した時点で即座に公表すべきだった」。広報・危機対応の専門家山見博康氏はこう指摘する。関電は当初、個人情報などを理由に詳細を明らかにせず2度の記者会見を余儀なくされ、税務当局の指摘をきっかけに金品受領の実態を調べた報告書も1年以上公表しなかった。
 山見氏は「説明責任や当面の対策の公表など、二重三重で対応が取れておらず救いようがない」と批判。危機管理意識の低さや対応のまずさを露呈した同社に対し、「経営陣は退陣し、事なかれ主義的な組織の体質を改めるべきだ」と話した。
 金品を受け取っていた幹部らが刑事責任を問われる可能性はあるのか。甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は、関電幹部は公務員ではないため刑法の収賄罪には当たらないが、会社法が規定する取締役等の収賄罪や特別背任罪に問われる可能性があると指摘する。
 ただ、いずれも要件が厳しい上、金品を提供した元助役は既に死亡している。「やりとりの録音でもない限り立証は難しいのではないか」と話した。
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