[2019_09_25_03]知事「計画は県の議論対象」 東海第二巡り原電が特重審査申請(東京新聞2019年9月25日)
 
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知事「計画は県の議論対象」 東海第二巡り原電が特重審査申請

 東海村の東海第二原発を巡り、再稼働を目指す日本原子力発電(原電)が、テロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重)の審査を原子力規制委員会に申請したことを受け、大井川和彦知事は24日、東海第二の安全性を検証する県のワーキングチームで議論する方針を示した。特重の建設費は約610億円で、原電はまたも東京電力から支援を受ける可能性があり、批判を招きそうだ。 (鈴木学)
 知事はこの日、取材に応じ「施設自体は安全対策として原電の判断で造られる。われわれがとやかく言うことでない」とする一方、テロ対策は県の住民説明会でも上がった関心が高い事項だと指摘。「しっかり対応できる施設かは、県民の知りたい情報。原電の計画が十分なものか、しっかり機能するものかは、当然(ワーキングチームの)議論の対象になる」と述べた。
 特重は原子炉建屋から離れた場所で、テロが発生した場合に遠隔操作で原子炉圧力容器などの冷却を維持し、放射性物質の大量放出を防ぐための施設。東電福島第一原発事故後にできた新規制基準で設置が義務付けられている。
 原電によると、圧力容器を減圧する設備や注水設備などを設ける計画で、基本設計をまとめた申請書を規制委に出し、安全協定に基づき県と村に計画書を提出した。建設費は約六百十億円。原発本体の事故対策費約千八百億円と合わせ約二千四百億円に膨らむ。
 資金の工面は、事故対策費と同様に、東電と東北電力に支援を相談しているという。事故を起こした東電が資金支援することには批判が根強く、特重で支援が増えれば、さらに問題視されることになる。
 また、特重は、本体施設の工事計画認可から五年以内の設置が求められている。東海第二の認可は昨年十月十八日だった。原電は二〇二一年三月末を予定する事故対策工事を終え、再稼働できても特重が二三年十月十七日までに完成しなければ運転停止になる。
 特重の設置は、規制委の審査をパスしなければならない。九州、関西、四国の電力三社の特重の審査は一年半ほどかかった上、工事にも想定以上の時間が必要になっており、原電が期限までに終えられない可能性もある。
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