[2019_08_28_02]東電の発表には「実質的な意味は何もない」 「柏崎刈羽原発6,7号機再稼働後5年後」では既に1号機は廃炉のはず 1号機は4年後に延長申請をするかどうか決める必要がある 「1〜5号機は当社が低廉で安定的かつCO2の少ない電気を供給する上で必要な電源である」とあるが これらが稼働する日は来ない 山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)(たんぽぽ舎2019年8月28日)
 
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東電の発表には「実質的な意味は何もない」 「柏崎刈羽原発6,7号機再稼働後5年後」では既に1号機は廃炉のはず 1号機は4年後に延長申請をするかどうか決める必要がある 「1〜5号機は当社が低廉で安定的かつCO2の少ない電気を供給する上で必要な電源である」とあるが これらが稼働する日は来ない 山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

 桜井柏崎市長の「2年以内に1〜5号機についての廃炉計画を時期を明記して提出すること」との要請により、小早川東電社長は8月26日に「6、7号機の再稼働後、5年以内に1基以上の廃炉も想定したステップに入る」と表明、これについて新聞等は「柏崎刈羽「一部廃炉も」東電社長、初めて言及」(東京新聞)などと報じた。
 東京電力のホームページにも「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方」として8月26日の文書が公開されている。
 しかし、残念ながらどの報道機関も言及していない現実がある。

◎ この発表には「実質的な意味は何もない」ということだ。
 柏崎刈羽原発については、6、7号機が2017年12月27日に新規制基準適合性審査による認可を受けている。
 しかし今現在、再稼働は不可能。新規制基準に定められた「重大事故等対処設備」が出来ていないからだ。
 それに関する工事及び工事認可手続が進行中なのだ。東電によると7号機の工事完了時期は2020年12月と見込んでいるという。
 さらに、この工事認可手続が終了した後、5年以内に「特定重大事故等対処施設」も完成しなければならない。
 再稼働をして直ぐに止めて、さらに「特定重大事故等対処施設」に2年かける。これでは経済性はない。
 既に1兆1690億円もの費用がかかることが明らかになっているが、実際には費用がさらにかさむことになるだろう。
 つまり再稼働の期限さえ未だ定まっていないのである。
 2020年12月では不可能であり、そのさらに5年程度後でも難しいだろう。結局、時間軸はいかようにも先に延びてしまう。

◎ その間に、1〜5号機の残余年数が刻々と減る。
 1985年9月18日に営業運転を開始した1号機は、今日現在、経過時間は34年8ヶ月15日、さらに2号機29年8ヶ月28日、3号機26年10ヶ月8日、4号機25年9ヶ月26日、5号機30年1ヶ月7日である。ちなみに6号機23年8ヶ月9日、7号機22年9ヶ月26日だ。
 「再稼働から5年後」ということから、「最短」に相当する2020年12月に単純に「5」を足してみたら良い。
 結果、1号機「41年0ヶ月19日」2号機「36年1ヶ月1日」、3号機「33年2ヶ月12日」、4号機「32年1ヶ月30日」、5号機「36年5ヶ月11日」である。
 この時点で、1号機は再稼働申請と20年延長運転申請をしていなければ廃炉になっている。2〜5号機も延長運転申請をしていなければ残存年数が少なすぎて意味がない。
 つまり、延長申請をしない選択をしていれば自動的に1基は廃炉になっているのだから、今の発表「地元の皆さまのご理解をいただき6・7号機が再稼働した後5年以内に、1〜5号機のうち1基以上について、廃炉も想定したステップ」の言葉に何ら意味がないのだ。
 これが「再稼働5年後に表明する」とした内容である。

◎ 発表文には「1〜5号機は当社が低廉で安定的かつCO2の少ない電気を供給する上で必要な電源である」と書かれているが、これらが稼働する日は来ない。
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