[2019_08_21_03]福島第一原発事故原因を誤魔化して原発を再稼働する 東電・経産省・規制委 「文芸春秋9月号」と「岩波科学8月号」が明らかにする地震原因 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その206 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2019年8月21日)
 
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福島第一原発事故原因を誤魔化して原発を再稼働する 東電・経産省・規制委 「文芸春秋9月号」と「岩波科学8月号」が明らかにする地震原因 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その206 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)


◎次をご覧いただきたい。
<“過去の話”ではない
 原発にはそもそも無理があるというのが、長年、現場経験を積んできた私の実感で、私は「反原発」です。しかし敢えて「原発維持」の立場に立つとしましょう。その場合でも、事故を教訓に十分な安全基準を設けることが最重要になるはずです。ところが安全基準づくりの根拠となるべき事故原因の究明すら、いまだなされていないのです。
 東電は「津波によってメルトダウンが起きた」という主張を繰り返しています。
 そして、その「津波」は、「想定外の規模」で原子力損害賠償法の免責条件にあたるとしています。
 しかし「津波が想定外の規模だったかどうか」以前に、「津波」ではなく「地震動」で燃料破損していた可能性が極めて高いのです。
 しかも、私が分析したように、「自然循環」停止の原因が、ジェットポンプ計測配管のような「極小配管の破損」にあったとすれば、耐震対策は想像を絶するものとなります。細い配管のすべてを解析して耐震対策を施す必要があり、膨大なコストがかかるからです。おそらく費用面から見て、現実的には、原発はいっさい稼働できなくなるでしょう。
 原発事故からすでに8年が経ちますが、この問題は、決して“過去の話”ではありません。不十分な事故調査にもとづく不十分な安全基準で、多くの原発が、今も稼働し続けているからです。>

 これは、「文芸春秋9月号」に掲載された元東京電力「炉心専門家」である木村俊雄さんの「福島第一原発は津波の前に壊れた」の結びだ。木村俊雄さんが、東電の「炉心流量」に関連する「過渡現象記録装置」を分析して、以上を明らかにしている。

◎ 一方、「岩波科学8月号」では、田中三彦さんが「積み残されたままの原発事故原因・事故分析その(3)」で次のように書いている。 <あの日から約8年が過ぎた。その間、東京電力のさまざまな弁解や弁明によって議論のポイントがあちらこちらへと移ろってはきたが、「全交流電源喪失は津波が原因か?」という、あの日(2011年7月10日)伊東良徳弁護士が提起した基本的な問題は、いまもなお未解明、未決定のままである。>
 そして、伊東弁護士の追及、国会事故調の分析、新潟県技術委員会でのディスカッションを詳述して、これまでの東電の曖昧な対応を糾弾している。

◎ 期せずして、文春と岩波で発表された別々の論者が、福島第一原発の特定号機は津波来襲前に地震により炉心溶融(メルトダウン)が起こった可能性が大であることを主張している。
 本シリーズで何度も述べてきた(その10、12、23、67,103,111、156、194など)が、木村俊雄さんが<「安全対策どころか、肝心の「事故原因」すら曖昧にされているのが現状なのです。>と述べるように、今の原子力規制委員会の「新規制基準」は砂上の楼閣なのだ。
 こんな状態で原発を稼働し続けることは絶対に許されない。
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