[2019_08_17_02]<点検 避難計画>東海第二放射能漏れ 避難所配置の職員足りない!!(東京新聞2019年8月17日)
 
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<点検 避難計画>東海第二放射能漏れ 避難所配置の職員足りない!!

 東海村の日本原子力発電東海第二原発から放射能が漏れる事故が起きた場合、避難計画の対象になっている三十キロ圏の十四市町村に住む九十四万人が仮に、避難先へうまく移動できたとしても、そこには新たな難問が待ち構えている。 (越田普之)
 「避難所に配置する職員が足りない」。栃木県の五自治体へ逃げることが決まっている城里町の防災担当者は、そう嘆く。
 原発事故が起きれば、原則的には正職員が対応に当たることになる。県労働組合総連合(茨城労連)が県内全市町村を対象にした二〇一八年度のアンケートによると、城里町の正職員数は十四市町村で最少レベルの百九十二人だ。
 一方、設置される避難所は約五十カ所に分散し、一カ所の避難所に配置できる職員数は単純計算で、四人に満たない。
 事故時は、臨時庁舎をどこかに設けて役場機能を維持しなければならず、職員を避難所に目いっぱい張り付けるのは現実的ではない。町職員だけではカバーできる状況ではない。
 千葉県北東部の六自治体へ避難する大洗町も同様だ。正職員数は城里町より少ない百六十五人の一方、避難所は六十カ所前後に上るとみられ、要員が足りなくなるのは明らかだ。
 一方、千七百四十六人の正職員がいる水戸市でさえも、人手不足になることが予想される。
 市は、県内九自治体に加え、栃木、群馬、千葉、埼玉の各県へ避難する。市は、避難所の総数をはっきりと明らかにしていないが、千カ所近くになる可能性がある。そうなると、一カ所の避難所に一人か二人振り向けるのがやっとになる。
 避難先が複数県にまたがる市では、各県に連絡所を設ける計画もあり、避難所へ職員を回す余裕はない。市の担当者は「町内会などの自主防災組織の力を借りる」と打開策を説明。避難所は極力、住民の力で回してもらおうと思い描く。
 十四市町村の避難先を割り振ってきた県は「職員数が足りなくなる問題は認識している」と認める。その上で「対策は今後議論していく」としているが、妙案は見えていない。
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