[2018_12_22_01]大規模地震の被害想定 茨城県、20年ぶり見直し 県北沿岸部にM7級(茨城新聞2018年12月22日)
 
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大規模地震の被害想定 茨城県、20年ぶり見直し 県北沿岸部にM7級

■房総沖の津波も
 茨城県は21日、県内で発生の可能性がある大規模地震の被害想定を1998年以来20年ぶりに見直した。県南部で被害が想定される首都直下地震に加え、新たに県北沿岸部の活断層が起こすマグニチュード(M)7クラスの地震と、本県沖から房総半島沖を震源とする津波地震を「特に被害が大きく特徴的な三つの地震」と設定した。県北沿岸部の活断層による地震は、日立、高萩、北茨城の3市で最大震度7、最悪の場合で死者730人、負傷者4500人、全壊・焼失の建物被害1万4千棟に上ると想定した。
 県の地震被害想定は、自治体や関係機関の防災対策の基礎資料で、現在の想定は1995年の阪神・淡路大震災後に作成された。今回、東日本大震災の教訓を踏まえた国の中央防災会議専門調査会の提言などを受け、2016年に有識者会議を設置し、最新の科学的知見を基に見直し作業を進めてきた。
 今回、県内に大きな被害をもたらす恐れのある七つの地震を設定し、特に大規模な三つの想定地震を具体的に公表した。
 県北沿岸部の地震名は、「F1断層、北方陸域の断層、塩ノ平地震断層の連動による地震」。活断層が連動してずれ動いた場合の揺れと最大の被害を想定した結果、「被害は沿岸部に集中し、七つの地震の中で全壊・焼失棟数や死傷者数が最も多い」とした。
 本県沖から房総半島沖を震源とする想定地震は、鹿行地域を中心とする沿岸部で津波による建物被害、内陸でも地盤の液状化などの被害が多く見込まれるのが特徴。神栖、鹿嶋、潮来、取手など11市町村が最大震度6強、最悪で死者100人、建物被害が全壊・焼失1万1千棟と想定した。
 県南部の地震は首都直下地震の一つで、20年前も想定されている。前回と比べて被害見込みは減少したが、つくば、石岡、稲敷など12市で最大震度6強、建物の全壊・焼失が県南西部に広く及ぶ。冬場の午後6時ごろに発生した場合、火災の被害が非常に心配される。
 三つの地震のほか、常陸大宮市で最大震度7を見込む「棚倉破砕帯東縁断層、同西縁断層の連動による地震」、水戸市や東海村、大洗町で最大震度6強の「太平洋プレート内の地震」などが設定された。
 県減災対策検討会議議長の林春男防災科学技術研究所理事長は会見で「この想定通りに地震が起こるとは限らない。正しく賢く、地震を恐れてほしい」と述べた。
 被害想定調査報告書は県防災・危機管理課のホームページで公表している。(三次豪)

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