[2018_12_11_04]地震被害ない沿岸も避難 南海トラフ津波対策(東京新聞2018年12月11日)
 
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地震被害ない沿岸も避難 南海トラフ津波対策

 政府の中央防災会議は十一日の有識者会合で、南海トラフ巨大地震につながる異常現象観測時の対応を巡る報告書をまとめた。東西に長い南海トラフ震源域の半分でマグニチュード(M)8級の地震が起きる「半割れケース」の場合、被害が及んでいない残り半分の沿岸住民にも政府が一斉避難を呼び掛けるのが柱。大地震の連動に備える津波対策で、警戒期間は一週間程度とする。
 過去の半割れケースで、残り半分でも最短三十二時間後に同規模の地震が記録されており、短期間に大地震が続きかねないことを踏まえた。政府は報告書を基に、自治体や企業向けに対策を例示した指針を来年度にも策定する方針。大規模地震対策特別措置法(大震法)などの見直しにも着手する。
 会議は、異常現象として「半割れ」のほか、前震の疑いはあるものの規模がM7級と一回り小さい「一部割れ」、日本列島がのる陸側プレート(岩板)とフィリピン海プレートの境界面で住民が揺れを感じない程度の地殻変動が生じる「ゆっくりすべり」の三ケースを想定。いずれの場合でも気象庁が震源域で異常現象を観測すれば「臨時情報」を発表し、巨大地震発生の可能性が高まったと国民に周知する。
 一斉避難を呼び掛けるのは「半割れ」に限定し、地震発生から三十分以内に三十センチ以上の津波が打ち寄せる沿岸自治体を対象とする。各自治体は政府が今後作成する指針を受け、高台の有無や避難に要する時間などを考慮し、地域ごとに全住民を避難させるか、高齢者のみとするかなどを判断する方向だ。
 「一部割れ」では一斉避難を求めないが、必要に応じて自主避難を促す。「ゆっくりすべり」では、地震への備えとして避難場所・経路などの再確認の要請にとどめる。

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