[2018_12_02_03]3.11後 東海第二巡り意見書 茨城地方議会6割「廃炉」「再稼働反対」(東京新聞2018年12月2日)
 
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3.11後 東海第二巡り意見書 茨城地方議会6割「廃炉」「再稼働反対」

 首都圏唯一の原発で、茨城県東海村に立地する日本原子力発電(原電)東海第二原発を巡り、二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故発生後、茨城県内四十四市町村のうち六割を超える三十議会が廃炉や再稼働反対を求める意見書を可決したことが本紙の調べで分かった。可決の時期は、原電が原子力規制委員会に東海第二の審査を申請した一四年五月以降に集中している。 (水谷エリナ)
 規制委は十一月七日、東海第二について最長二十年の運転延長を認めた。規制委による再稼働に必要な主要手続きは終了し、地元同意が今後の焦点だ。
 本紙は運転延長認可に先立つ十月、茨城県内の四十四市町村の各議会事務局に対し、福島原発事故が起きた一一年三月から今年九月までの間、東海第二に関する意見書の可決状況について照会。すべての議会から回答が寄せられた。
 それによると、三十議会が廃炉を求めたり、再稼働に反対するなどの意見書を可決していた。住民の避難計画策定が義務付けられる三十キロ圏の十四市町村のうち、笠間市など七議会も含まれていた。笠間市の意見書は「事故が起これば、関東全域の被害状況は予測できない甚大なものになる」と指摘した。
 再稼働の事前同意が必要な周辺六市村の中では、水戸市議会が今年六月、実効性のある避難計画の策定が不十分として「住民理解のない再稼働は認めない」との意見書を可決した。
 複数回意見書を可決した議会もあり、最新の時期を見ると、原発事故直後が十議会で、規制委に新規制基準に基づく審査が申請された一四年五月二十日以降が二十議会だった。再稼働に向けた手続きが進む中、多くの議会がこれに歯止めをかけようとした様子がうかがえる。
 一方、東海村議会は国の審査の進展を求める意見書を一六年三月に可決。再稼働の事前同意が必要な日立市とひたちなか市を含む四議会が「再稼働は、住民の納得を前提に」などと再稼働を容認するような意見書を可決した。九議会は東海第二関連の意見書はないとしている。
 意見書は議長名で国や県など関係機関に提出している。法的拘束力はない。

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