[2018_11_27_02]「再稼働問題、ここからが勝負」 本間・ひたちなか市長が退任(東京新聞2018年11月27日)
 
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「再稼働問題、ここからが勝負」 本間・ひたちなか市長が退任

 東海第二原発(東海村)の事業者の日本原子力発電と再稼働の事前同意の協定を結ぶひたちなか市の本間源基市長(64)が二十六日、四期十六年の任期を終えて退任した。退任式で、「(再稼働の是非について)市民を守ることが判断基準。そう考えれば迷うことはない」と語り掛けた。 (越田普之)

 退任式には、市の管理職ら約百五十人が出席。本間市長は「仕上げ」と位置付けた三期を超えて続投した理由に、交渉中だった協定の存在を挙げた。その上で「(再稼働問題は)ここからが勝負。(新市長に)任せるのは申し訳ないと思わないわけでもない」と、若干の未練をのぞかせた。
 また、市の出資で廃線危機を脱したひたちなか海浜鉄道湊線にも言及。「乗客は年間百万人になったが、今後の公共交通のあり方を示す上で延伸は重要事項だ」とし、二十七日から登庁する大谷明新市長へ実現を託した。
 今後は「一市民として市政を見守る」としている。市役所前には大勢の市民が詰め掛け、本間市長に花束を渡すなどして退庁を見送っていた。

◆本紙に退任前インタビュー「協定の土俵で市民守って」

 ひたちなか市の本間源基市長は退任前に、本紙の取材に応じ、再稼働の事前同意の協定に基づき、原電と開く協議会について「避難計画などを含め、地元ならではの課題を取り上げるべきだ」と幅広いテーマで議論することを求めた。
 協定の協議は、再稼働について、ひたちなか市など六市村が「納得するまでとことん継続する」と確認。一自治体でも反対すれば、再稼働できない仕組みだ。
 本間市長は、東京電力福島第一原発事故で放射能の被害が広範囲に及ぶことを目の当たりにした。東海第二についても「事故が起きれば、被害は立地する東海村だけではない」として、再稼働の際に事前同意を取る自治体を原電に増やすよう交渉し、協定を成立させた。「協定ができるまで、足掛け五年。ようやく原電に物が言える立脚点をつくることができた」
 ただ、現状で協定の運用は何も決まっていない。本間市長は、協定で「合意形成を図る」としているが、再稼働の是非については「原電に確認したいことは六市村で共有すべきだが、六市村がそれぞれ、答えを出していいと思う」と、六市村それぞれの判断を尊重すべきだとの考えを示した。
 協議会のテーマに、避難計画を取り上げることを挙げ「避難ルートなど六市村が共通の課題を抱えている。それを原電に伝えることも大事だ」と強調した。
 「六市村がまとまったからこそ、協定はできた。今後、原電から再稼働の意思表明があった後も、連携していく必要がある」と指摘。その上で「この協定の土俵に立ち、市民を守ってほしい」と述べ、大谷新市長に期待した。 (山下葉月)


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