[2018_11_24_50]噴火予知(「大噴火が少なすぎる近年の日本」講演資料#50)(島村英紀2018年11月24日)
 
【島村】この写真は東桜島小学校です。この林の影にあるのですが、「科学を信頼するな」という石碑が建っています。(※)
【補足】
島村氏のウェブの192頁目に当写真に関するコメントがある。以下にその内容の一部を抜粋する。写真のみ表示の場合はココをクリック。
「1913年に有感地震が頻発し、地面が鳴動し、海岸には熱湯が噴き出した。人々は桜島が噴火するのでは、と心配した。
 しかし、村長からの問い合わせを繰り返し受けた地元の気象台長(いまの鹿児島地方気象台。当時は鹿児島測候所だった)は、問い合わせのたびに、噴火するという十分なデータを気象台は持っていない、噴火はしない、と答えたのであった。
 だが気象庁の「予測」に反して、桜島は大噴火を起こしてしまった(註1)。後ろは火山、前は海。逃げどころのなかった住民の多くが犠牲になった。8つの集落が全滅し、百数十人の死傷者を出す惨事になったのである。
 その石碑には「科学を信じてはいけない、危険を察したら自分の判断で逃げるべきだ」と記されている。気象庁にとって幸いなことに、この失敗はイタリアのように刑事事件にはならなかった。
 このように、科学的な事実を無視してまで人心を安定させたがるのはイタリアも日本も同じで、政府の根深い体質なのである。危ないか危なくないか、明確な根拠でもない限りは「危なくない」という体質だ。無用な混乱をできる限り避けたい、という日本の気象庁の伝統が裏目に出たのだった。」
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