[2018_11_24_36]富士山の監視:地震観測(「大噴火が少なすぎる近年の日本」講演資料#36)(島村英紀2018年11月24日)
 
【島村】富士山は噴火したら大事件です。首都圏に大変な影響を及ぼします。そして、富士山の周辺には現在は施設が沢山あります。そういった意味で、富士山の地震の観測、監視が重要になっている。
 このスライドの上下のヒストグラムは何かというと、上は高周波地震(※)、?の地震で、1995年1月から2003年1月ぐらいにかけてのものです。下半分は何かというと、富士山の下にしかない、非常に特別な地震でありまして、低周波地震といいます。震源の深さは15kmから20kmです。富士山の高さは約4km、その4倍くらいの深さです。このように地下深くに起きていて、周波数が非常に低い地震を低周波地震といいます。低周波地震と地震とは関連がある場合があります。下の図を見てわかるとおり、実は2001年ぐらいに非常に増えたんです。火山学者、気象庁、その他の関係者たちは非常に驚いて、騒いだのです。しかし、結局2018年の今に至るまで噴火しませんでした。いまだに、これはなんだったのか分かりません。
 そういった意味で、これからも、この種の観測をし続けますが、富士山の一番まずい所は何かというと、前に噴火したのがかなり前な事です。噴火の前に何が起こっていたかを全然わかっていない。特に地震計による観測が始まったのは1926年ぐらいにです。よって、1926年より前は、地震計による観測すらありません。ですからこういった地震がだんだん増えて、噴火に至るとかが、全く分かりません。
【補足】
・(※)気象庁HPに「火山活動解説資料(平成14年8月)」という資料がある。その中に「防災メモ 高周波地震と低周波地震について」がある。その中から「高周波地震」の説明部分を以下に抜粋する。
「火山の周辺で起きる地震には、高周波(周期の短い)地震と低周波(周期の長い)地震とがあります。
 高周波地震は、P波、S波の相が比較的明瞭で、震源決定は低周波地震に比べ容易です。火山以外で一般的に起こる地震と同様、応力集中による地殻の破壊によって発生しますが、火山活動に直接関係する発生原因として、マグマの貫入に伴う火道周辺での岩石破壊などの例があります。」
・気象庁HPの「富士山の火山活動解説資料(平成15年11月)」(pdf形式)の2ページ目に「長期・月別 地震活動推移 (1995年6月以降の高周波地震・低周波地震の月別回数) 」がある。
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