[2018_08_31_08]燃料1体を取り出す もんじゅ 計530体、22年までに(東京新聞2018年8月31日)
 
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燃料1体を取り出す もんじゅ 計530体、22年までに

 日本原子力研究開発機構は三十日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出し作業を始め、燃料一体を「燃料池」と呼ばれる水で満たされたプールへ移送し終えた。燃料取り出しは三十年かかるとされる廃炉作業の第一段階。準備段階でトラブルが相次ぎ、当初七月下旬を予定していた作業開始を延期していた。
 機構は二〇二二年までに「燃料貯蔵設備」と原子炉に入っている計五百三十体の取り出しを終えると説明している。ただ、プールへの移送は廃炉決定前の〇八〜〇九年に二体しか行ったことがなく、空気や水に触れると激しく燃える冷却材の液体ナトリウムの扱いも難しいため、作業が難航する可能性もある。
 機構によると、取り出し作業は操作員ら計二十五人が三班体制で行い、原子炉補助建屋にある「燃料取扱設備操作室」で、燃料出入機(だしいれき)や、取り出した燃料をステンレス製の缶に入れる装置などを遠隔操作して実施。
 この日は操作員ら七人が作業に当たり、出入機を使って貯蔵設備にある燃料を取り出し、付着した液体ナトリウムを洗浄した後、ステンレス製の長さ約四・五メートルの缶に収納し、水で満たされた「燃料池」に移した。機構の担当者は終了後、「工程に影響を及ぼすようなトラブルはなく、予定通りに進んだ」と話した。
 機構は今年十二月までに、貯蔵設備にある百六十体のうち百体を燃料池に移すことを目標とし、原子炉からの取り出しは来年七月に始める計画だ。四七年度までに廃炉を完了するとしている。

◆経験不足 トラブル懸念

 取り出し準備段階から多くのトラブルに見舞われ、予定より一カ月遅れて廃炉作業の入り口に立った。ほとんど経験したことのない作業が続き、「無事故で済むとはとても思えない」(福井県幹部)と悲観的な声も上がる。
 「貯蔵設備からプールへ移送したのはこれまで二体しかない。缶に一体ずつ入れる作業はほとんど初めてだ。本当に慎重さが求められる」。二〇〇七〜一〇年にもんじゅの所長を務めた向(むかい)和夫さん(70)は指摘する。現在の職員で、過去に燃料交換を経験したことがあるのは数人程度という。
 向さんによると、出入機などの大型装置は四十年ほど前の設計。炉心の使用済み燃料を取り出す際には、高さ約八メートルの出入機を数ミリ単位の誤差の範囲で動かす必要がある。
 来年七月に開始予定の原子炉からの取り出しでは、長さ約四メートルの炉心燃料が互いに支え合う形で入っているため、一体抜いたら、代わりに模擬燃料一体を入れなければならない。入れる場所を間違えれば引っかかって取り出せなくなる恐れもあり「神経をすり減らす作業」という。

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