[2018_08_30_04]送電線に空き 再生エネ追い風 大手電力が算定見直し(東京新聞2018年8月30日)
 
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送電線に空き 再生エネ追い風 大手電力が算定見直し

 送電線に空きがないとして再生可能エネルギーなど新規の発電事業者が、送電線への接続を拒まれていた問題で、大手電力が空きを見直した結果、一部の基幹送電線で再生エネの受け入れが増える見通しとなったことが二十九日、分かった。ただ、原発については依然、フル稼働を前提にしている。 (伊藤弘喜)
 電力業界のルールを管轄する国の認可法人、電力広域的運営推進機関が四月に送電線の空きの算定方法を見直したことを受け、経済産業省が二十九日、審議会で見直しの効果を中間報告した。
 経産省によると、これまで全国の基幹送電線三十区域で、六十四の発電事業者が利用を希望していたが、電力会社に送電線の空き容量がないとして巨額の送電線増強工事費用を求められ、接続断念に追い込まれていた。
 見直しの結果、これらのうち十の区域で、受け入れ余力が拡大。九の区域では増強工事をしなくても四十の発電事業者の発電所を接続でき、電気を受け入れられる見込みとなった。受け入れ容量の拡大分は三十七万四千キロワットで、原発一基の三分の一に相当する。具体的な区域は明らかにしていない。 従来、大手電力は管内すべての発電所が同時にフル稼働する非現実的な想定を前提に空きを算定していた。
 新しい算定方法では各発電所の実態を踏まえた。ほとんど発電させていない老朽化した火力発電所の分の容量を減らした。天候によって出力が変わる太陽光や風力の発電所は、仕様上の最大出力で空きを算定していたところを最大出力の実績を基に算定し直した。
 識者などは、再稼働の見込みが立たない原発をつなぐ送電線は、再生エネに開放すべきだと主張している。だが、政府と大手電力は、あくまでも原発を再稼働させる方針を崩していない。審議会では再稼働までは一時的に再生エネに開放する手法の議論も始まっているが、まとまる見通しは立っていない。

<基幹送電線> 送電線の中でも特に太く、高圧で大量の電力を送れる電線。東京電力など大手電力が所有し管理。発電所や、各大手電力が所管する地域ごとの送電網同士も結ぶ。基幹送電線に流れる高圧で大量の電力は、支流の電線に入り、最終的に細い電線を通って家庭など消費者に届く。血管に例えると大動脈で、消費者に届く電線は毛細血管に当たる。

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