[2018_08_28_02]<点検 避難計画>策定未定の水戸市 避難所すら確保できず(東京新聞2018年8月28日)
 
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<点検 避難計画>策定未定の水戸市 避難所すら確保できず

 東海村の日本原子力発電東海第二原発の避難計画を巡り、本紙が対象の三十キロ圏十四自治体に策定状況を聞いたところ、八自治体が「来年三月までを目指す」と答え、三自治体が「未定」とした。策定の課題として避難先の確保、高齢者や障害者ら要支援者用のバスの調達などを挙げた。策定した三自治体も問題点があり、改善が必要になる。
 本紙は七月、十四自治体の担当者に聞き取りした。避難計画の策定が義務付けられる十四自治体には、全国の原発三十キロ圏で最も多い約九十六万人が生活。県は今年三月までに策定したいとしていたが、想定通りには進んでいない。
 「未定」と答えた水戸市は、最も多い人口約二十七万人を抱える。避難先は三十キロ圏外の県内の九自治体に約十万人、栃木、群馬両県に約八万四千人を決めた。だが、残る約八万六千人については「埼玉、千葉両県への避難はおおむね決まったが、避難所をまだ確保できていないので、策定時期は見通せない」(市防災・危機管理課)とした。
 同じく「未定」のひたちなか市は「バスのほか、高齢者や障害者の福祉車両の確保も進んでいるとは言えない」、日立市は「バスの確保、スクリーニングなど未確定なことが多過ぎる」と説明する。
 来年三月の策定を目指すとした八市町村も、楽観できない。「訓練の課題も盛り込みたいが、来年三月に間に合わなければ延期」(東海村)「実効性の確保に苦労している」(大洗町)などとしており、実際にできるのかは分からない。
 これまでに策定した三市の計画は、避難先や交通手段などは記載されているが、地震や津波が同時に起きる複合災害を想定しないなど今後も見直しが必要だ。笠間市は「最初から百点ではできないので、策定を急いだ。避難訓練し改善していく」としている。

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 東海第二原発について、原子力規制委員会が近く、新規制基準に適合すると判断するとみられる。再稼働の手続きが着々と進む一方で、住民を守るための避難計画作りは難航中。そもそも、約九十六万人を対象にした実効性ある計画はできるのか。随時、避難計画の課題を洗い出し、点検していく。

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