[2018_07_27_05]原子力規制委員会はIAEAの深層防護第5層を審査せよ 地域防災計画も住民避難計画も実行性がないぞ 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その177 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2018年7月27日)
 
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原子力規制委員会はIAEAの深層防護第5層を審査せよ 地域防災計画も住民避難計画も実行性がないぞ 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その177 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 2018年7月13日の院内ヒアリング集会「東海第二原発の再稼働審査を問う!原子力規制委員会院内ヒアリング集会(3)」の質疑をご覧いただきたい。

Q:「原子力規制委員会は原子力災害対策指針を立て、国の原子力防災訓練に重要な役割を果たしているにも拘らず、避難計画は内閣府と自治体の役割としている。IAEAの深層防護の考え方と矛盾するのではないか?」
A:IAEAの深層防護の考え方と第5層についてはそのとおりで「緊急時対応施設の整備、緊急時計画などが必要」と認めながら、一方で、「IAEAは第1から第5の総ての防護レベルを規制当局に求めているとは規定していないと認識している」と説明して、原子力規制委員会が第5層の審査をしないことを正当化。
 さらに、「避難計画については災害対策基本法に基づき、地域の実情を熟知している地方公共団体が中心になって定め、内閣府原子力防災が中心になって地域原子力防災協議会で(原子力規制庁を含めた)関係省庁が関係自治体と一体となって地域防災計画に取り組んでいる。さらに総理が開くかつ原子力規制庁も参加する原子力防災会議で国として了承する」と説明。
 要するに、原子力規制委員会は地域防災にも関わるが、深層防護第5層としての審査はしないのだ。
 チェルノブイリ事故後、1996年にIAEAが定めた深層防護(INSAG-10)を無視して福島第一原発事故被害を経験したにもかかわらず、住民の避難計画の実行性なしの悲鳴が各原発立地で鳴り響いている中で、「深層防護第5層の審査はしません」と逃げる原子力規制委員会。正に再稼働推進委員会だ。
 原子力災害対策指針を策定し改訂(7月25日定例会議議題1)しても、各原子力事業者が実施する防災訓練を評価(同日定例会議議題3)して東電の悪口を言っても、地元で意見交換会(玄海、本年2月11日)をしても、原子力規制委員会は全く信用できない。
 原子力規制委員会は、国際原発「推進」機関であるIAEAでさえ必要と定めている深層防護の考え方をきちんと適用し、各原発立地の地域防災計画と住民避難計画を審査し、それが合格となるまでは再稼働を認めてはいけない。

(注)IAEAの深層防護(各レベルは独立に最善の対策を講じるべき)
第1層 異常運転や事故の防止、建設・運転での余裕ある設計と品質
第2層 異常運転の制御および故障の検知、管理・制御・保護のシステムや監視機能
第3層 設計基準内への事故の制御、工学的安全施設と事故時対応手順の準備
第4層 事故の進展防止およびSAによる影響緩和を含む過酷な
プラント状態の制御、格納容器の防護を含む補完的手段および
アクシデントマネジメント
第5層 放射性物質の大規模放出による放射線影響の緩和、サイト外の緊急時対応

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