[2018_06_05_02]<日立>英政府と基本合意 原発新設、本格交渉入りへ(毎日新聞2018年6月5日)
 
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<日立>英政府と基本合意 原発新設、本格交渉入りへ

 【ロンドン三沢耕平】英政府と日立製作所は4日夕(日本時間5日未明)、英中部アングルシー島の原子力発電所の新設プロジェクトについて、本格交渉入りすることで基本合意した。クラーク英エネルギー・産業戦略相が下院で表明した。事業リスクや資金負担の具体策などを詰めた上で、2019年中の最終合意を目指す。
 クラーク氏は「事業への直接融資を検討している」と説明した。ただ、資金負担の詳細については明らかにせず、「日立とはまだ協議が継続中で、最終決定はされていない」と指摘。規制当局の数多くの承認が必要になることにも触れ、計画が変更される可能性にも言及した。
 日立は英原発子会社を通じ、原発2基を建設する計画を進めてきた。だが、安全対策の強化などでコストが膨らみ、総事業費は当初の想定を大幅に上回る3兆円規模になる見通しとなったため、日立側はリスク回避に向けて英政府に資金支援を求めてきた。
 英国では、耐用年数が過ぎた原発の廃炉に伴う電力供給の不足が懸念されており、メイ政権は原発新設を推進している。しかし、フランス電力(EDF)が主導する南西部ヒンクリーポイントでの建設プロジェクトも事業費が増え、電気料金への上乗せなどで消費者がコスト負担を強いられる可能性があるとして物議を醸している。
 この日の下院でも日立の原発新設に伴う資金負担の具体策について厳しい質問が出たが、クラーク氏は「低炭素社会に移る中で原発は英国の将来に重要な役割を果たす」などと強調して原発新設に理解を求めた。
 原発建設を巡っては、中西宏明会長が5月にロンドンでメイ首相と会談し、計画撤退もちらつかせながら支援を要請。英側は投融資などを通じて支援する姿勢を示し、日立は先月28日の取締役会で事業の継続を確認した。
 本格交渉入りについて日立は5日、「経済合理性の観点から本プロジェクトを精査し最終的な投資判断を行う」とのコメントを出した。


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