[2018_04_02_03]再処理工場 21年度完工 ハードル高く 原燃、国の使用前検査が鍵(東奥日報2018年4月2日)
 
 日本原燃は六ヶ所再処理工場の安全管理トラブルを受けて中断している安全審査の再開を4月上旬にも原子力規制委員会に申し入れる方針だ。半年ぶりの審査再開が規制委から認められても、2021年度上期とした完工目標の実現にはクリアすべき高いハードルがいくつか待ち受ける。原子力規制庁幹部は取材に対し、現工程通り進むかどうかは、審査合格後に行う安全対策工事が新規制基準を満たしているかチェックする規制委の使用前検査が鍵を握るとの見方を示した。
 再処理工場の今後の主な流れは(1)審査再開、合格(2)新規制基準に対応するための安全対策工事を行う「設計およびエ事の方法の認可」(設工認)の申請、認可(3)安全対策工事の本格着工(4)使用前検査受検(5)同検査合格(完工)(6)地元との安全協定締結(7)操業ーとなる。
 原燃は緊急時対策所や貯水槽の建設など安全対策工事の工期を1〜2年と見込む。原燃は審査合格時期の見通しを明らかにしていないが、合格に際し意見公募など事務手続きにも時間を要する点を考慮すると、再開した審査への対応を速やかに進め、18年度内には合格する必要がある。
 また、設工認では原燃が数万ページにもおよぶ工事計画書類を作成・提出し、規制委側は確認に数カ月を要するという。雨水流入など再処理工場で相次いだ安全管理上のトラブルに対する保安規定の審査、保安検査も並行して実施する。これら完工に至る不確定要素のうち、規制庁はとりわけ使用前検査が焦点になるとみている。
 原燃は新基準施工前に同工場のガラス固化設備が設計通りに施工されているがの使用前検査の受検を完了し、設備の処理能力検査など一部が残った。受検に先立つアクティブ試験(最終試運転ではガラス固化試験をクリアし「操業に向けた技術は確立できた」(原燃)という段階だった。
 一方、規制庁の金城慎司安全規制管理層は「原燃は前の規制基準下でも使用前検査を越えられなかった」と厳しく指摘する。今後の使用前検査では、残っていた項目だけを確認するか、一連の再処理工程を改めて確認するかによって検査に要する期間は大きく左石されるが「今後の検討事項で決まっていない」という。
 金城管理官は「過去に取得したデータも活用し、すべからく検査するということにはならないと思うが、ガラス固化試験は残っており、最後には総合評価も必要になる」と、厳格化した新基準のハードルの高さを強調。さらに「アクティブ試験開始から既に10年が経過した。施設の老朽化も進んでいるのではないか。確認し直す必要がある」とも語り、原燃の対応次第では安全対策工事の着工時から完工まで続く使用前検査が長期化する可能性を示唆した。
     (阿部泰起)
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