[2018_01_15_02]操業開始に不透明感 RFS中間貯蔵、審査申請4年(デーリー東北2018年1月15日)
 
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操業開始に不透明感 RFS中間貯蔵、審査申請4年

 リサイクル燃料貯蔵(RFS)が、使用済み核燃料中間貯蔵施設(青森県むつ市)の操業開始に向けた審査を原子力規制委員会に申請して15日で丸4年となる。終盤を迎えた議論は地震と津波対策に焦点が絞られる一方、中間貯蔵の実質的な条件となる日本原燃の再処理工場(六ケ所村)の完成は、23回目の延期でさらに3年先送りが決まった。袋小路の状態にある核燃料サイクルでRFSが審査をクリアしても、2018年後半を目指す操業開始には不透明感が漂う。
 新規制基準に適合するかを見極める審査のうち、施設の設計基準に関しては16年末までに規制委が一通りの確認を終えた。RFSの施設はいわば「倉庫」。キャスクと呼ばれる金属容器に入れた核燃料を自然換気の建屋で貯蔵するため、電源や冷却手段を多重化させる重大事故対策が不要な分、目下の課題は自然災害だ。
 地震対策を巡っては昨年9月、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)を600ガルから620ガルに見直す方針を規制委が大筋で了承し、大きなヤマ場を越えた。津波対策については、従来の約2倍に当たる高さ23メートルの仮想的大津波を新たに想定。建屋の浸水に備え、キャスクや放射線の代替監視策などが今後の議論となりそうだ。
 着実に進むRFSの審査だが、肝心の核燃料サイクルは依然として実現の見通しが立っていない。再処理が進展しない現状では、机上の政策で「資源」とされる使用済み核燃料が厄介な「ゴミ」のまま。搬出先が決まらず、なし崩し的に留め置かれる懸念は拭い去れない。趨勢(すうせい)を占う原燃の工場完成は昨年12月に18年度上期から21年度上期に延期され、停滞の一途をたどる。再処理で取り出すプルトニウムを再び原発の燃料に使うプルサーマルについても、対象の原発再稼働は低調だ。
 RFSの広報担当者は14日までの取材に「原燃の影響で工程を変更することは考えていない」と強調したが、RFSは操業開始までに地元と安全協定を締結する必要もある。宮下宗一郎むつ市長は「再処理事業が前提という考え方をすれば、延期はRFSの操業に大きく影響する」とも指摘する。

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