[2017_12_20_01]<大飯原発>22日に廃炉決定 関電、運転延長採算取れず(毎日新聞2017年12月20日)
 
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<大飯原発>22日に廃炉決定 関電、運転延長採算取れず

 関西電力が22日の臨時取締役会で、2019年に40年の運転期限を迎える大飯原発1、2号機(福井県おおい町)の廃炉を正式に決定することになった。再稼働するには安全対策に巨額の費用がかかり、運転を延長しても採算が取れないと判断したためだ。東京電力の福島第1原発事故後、出力100万キロワット級の大型原発が廃炉になるのは初めて。原発は採算性に加え、再稼働に地元の同意を取り付けるのも難しくなっており、今後も大型原発の廃炉が続く可能性がある。
 大飯1、2号機はそれぞれ出力117.5万キロワット。19年に40年の運転期限を迎えるため、関電が原子力規制委員会に最長20年の運転延長を申請するか注目されていた。しかし、大飯1、2号機は格納容器の周りに約1250トンのブロック状の氷を置き、事故時に発生する蒸気を急速に冷やして圧力を下げる「アイスコンデンサー方式」と呼ばれる特殊な構造のため、安全対策費は通常の原発を上回る見込み。最終的に関電は運転延長をしても採算が取れないと判断した。来年初めに廃炉計画を国に提出する。
 原発は電力会社にとって、火力発電よりも燃料コストが少なく、再稼働すれば年間数百億円の燃料費を節約できるメリットがある。しかし、東京電力・柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県柏崎市、刈羽村)の場合、原子力規制委の安全審査に合格したものの、新潟県の米山隆一知事は再稼働に慎重で、地元同意のめどは立っていない。また、今月13日には広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止める仮処分を決定。安全対策工事に巨額の費用を投じ、原子力規制委の審査に合格しても、再稼働できるか不透明になっており、電力業界からは「原発への巨額投資は経営リスクが高すぎる」との声が漏れ始めている。
 政府はエネルギー基本計画で、30年度に電力供給の20〜22%を原発でまかなう目標を立てている。目標達成には30基程度の再稼働が必要だが、電力会社は原発投資に慎重姿勢を強めており、政府は原発比率の目標引き下げなどの対応を迫られる可能性が高い。【片平知宏、小坂剛志】

 ◇キーワード・原発の廃炉

 電力会社が原発廃炉を決定した場合、電気事業法に基づき経済産業省に発電所の廃止を届け出る。実際の廃炉作業に入るには、原子炉等規制法に基づき、原発の解体方法や放射性廃棄物の処理方法などを示した「廃止措置計画」を原子力規制委員会に提出し、認可を受ける必要がある。廃炉作業は使用済み核燃料の搬出、放射性物質の洗浄、建屋解体と段階的に進められる。終了まで約30年かかるとされるが、廃棄物の処分など課題が多い。
 廃炉費用は出力50万キロワット級の小型原発で1基当たり約360億〜約500億円、110万キロワット超の大型原発で約580億〜約870億円とされ、電力会社は必要な費用を積み立てることになっている。

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