[2017_12_11_01]<東海第2原発>周辺5市了解権骨抜き 再稼働へ新協定案(毎日新聞2017年12月11日)
 
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<東海第2原発>周辺5市了解権骨抜き 再稼働へ新協定案

 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働を巡り、原電が周辺5市に「実質的な了解権」を認めると表明しながら、実際には止める権限を明確に認めない内容の新たな協定案を内々に示していたことが分かった。従来の協定では立地自治体だけが事前了解の権限を持つが、東京電力福島第1原発事故を受けて全国の周辺自治体が了解権を求めており、認めたように装ったとも取れる原電の不透明な対応に反発も出そうだ。【玉腰美那子、山下智恵】
 日立▽ひたちなか▽那珂▽常陸太田▽水戸−−の周辺5市と、立地の東海村の首長でつくる「所在地域首長懇談会」は事故後、了解権を認めるよう要求。これに対して、原電は今年3月「再稼働の際に事前協議する」との新たな協定案を提示したが、同懇談会は「事前了解との違いが不明確」として突き返し、運転期間延長の申請前に改めて回答するよう求めていた。
 同懇談会は先月22日、同村役場で原電の村松衛社長も交えて非公開会合を開催。終了後に山田修村長が「『実質的な了解権』を5市にも認める新たな協定を原電と結ぶ」と説明した。
 関係者によると、原電はコピーや開示の禁止を条件に、新たな協定案を非公開会合の中で示したという。
 毎日新聞が入手した新協定案では、「再稼働及び運転延長しようとする際の事前了解に関する事項は規定されていない」としたうえ、「意見の提起や回答の要求などを通じた事前協議により実質的な事前了解が担保される」と記載。了解権の有無ははっきりしていない。
 一方、原電が県、東海村と結ぶ従来の協定では、新増設や再稼働の際に「事前に了解を得るものとする」と記載。了解を得なければ新増設や再稼働をできないことが明確になっている。
 原電が不透明な内容の協定案を内々に示した背景には、来年11月に運転開始から40年を迎えるため、20年延長の申請期限が今年11月28日に迫っていたことがある。原電は懇談会2日後、原子力規制委員会に申請した。
 東電福島第1原発事故では放射能が広範囲に拡散。事故を受け、国が12年10月に定めた原子力災害対策指針では、避難計画を策定する市町村を半径30キロ圏内に拡大。全国で周辺市町村が了解権を認めるよう求めているが、原発事業者は応じていない。
 原電東海事業本部地域共生部は新協定案を示したことを認めたうえで、「まだ成案になっておらずコメントできない」としている。

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