[2017_12_06_01]核のごみ、三重県で意見交換 「津波考慮か」質問続出(伊勢新聞2017年12月6日)
 
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核のごみ、三重県で意見交換 「津波考慮か」質問続出

 原子力発電所の使用済み核燃料から出る高レベル性放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)などは5日、三重県津市一身田上津部田の県総合文化センターで意見交換会を開き、核のごみを地中深くに埋める地層処分や、国が発表した「科学的特性マップ」について説明した。参加者からは「マップは津波も考慮しているのか」などと質問が続出。要望書を差し出した市民団体と受け取りを拒もうとする主催者側が問答を繰り広げる場面もあり、事業を進める難しさも表面化した格好だ。
 機構と資源エネルギー庁が共催。10月中旬から全国で開催し、三重は21都府県目となる。福島を除く46都道府県で開く予定だが、委託先が謝礼を支払う約束をして参加者を集めた問題が発覚したため、スケジュールを再検討しているという。
 この日は約60人が参加。前半は主催者側の4人が約1時間半にわたり、地層処分や科学的特性マップについて説明した。後半は希望した参加者がグループに分かれて放射性廃棄物の処分に意見を出し合い、機構の担当者らが回答する形式で進行した。
 機構の伊藤眞一理事は地層処分の方法について、放射性廃棄物を固形化させて容器に入れ、地下300メートルよりも深い安定した地層に埋めると説明。「地上で管理するよりもリスクが少ない。次の世代に負担を掛けることもない」とメリットを強調した。
 資源エネルギー庁放射性廃棄物対策課の岡本洋平課長補佐は、最終処分場となり得る地域を示した科学的特性マップについて説明。県内でも広範囲が「輸送面でも好ましい」とされるが、「適地や候補地として表示しているのではない」と理解を求めた。
 参加者らは「県内では南海トラフ地震が懸念されるが、マップは津波も考慮しているのか」「原発ができた時に見つかっていなかった断層もあり、マップは信頼できない」などと相次いで質問。主催者側は「処分地を選定する中で調査を進める」などと回答した。
 また、伊藤理事は開会に先立つあいさつで、他県の意見交換会で謝礼を支払う約束をして参加者を集めていた問題について「皆さんの不信を招いたことを深く反省している。重く受け止め、2度と同じようなことが起きないよう心して取り組む」と述べた。
 開会前には市民団体と主催者側が問答する事態も。原発に反対する人らでつくる市民団体「原発おことわり三重の会」のメンバーらが「全ての原発が稼働を停止してから処分の議論をすべき」とする要望書を、会場の入り口で主催者側の担当者に差し出した。
 これに対し、担当者は「事務的に頂戴するとは言ったが、カメラがいる場所では受け取らない」などと説明し、受け取りを拒んだ。市民団体のメンバーは「法的な仕事をしているのに拒否するのはおかしい」「取材は自由だろ」などと声を上げた。

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