[2017_11_28_08]中間貯蔵「不退転の決意」、関電社長 18年中に候補地、長期運転に道筋(日本経済新聞2017年11月28日)
 
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中間貯蔵「不退転の決意」、関電社長 18年中に候補地、長期運転に道筋

 関西電力は27日、大飯原子力発電所3、4号機(福井県)の再稼働に向けて福井県の西川一誠知事の同意を取り付けた。判断の決め手として西川知事が挙げたのが、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について「2018年中に具体的な計画を示す」と説明した関電と国の姿勢だ。県の強い要請に応えた格好だが、原発を長期運転したい関電にとっても避けては通れない課題となる。
 「当社の不退転の決意と地元のご理解(をもらう)という観点で申し上げた」。関電の岩根茂樹社長は27日、18年中に中間貯蔵の具体的な計画を示すと表明した理由についてこう述べた。
 関電は現在、使用済み核燃料を各原発の敷地内で一時保管している。だが美浜は9年程度、高浜6〜7年、大飯は7年程度で貯蔵プールが満杯になると試算。これに代わる中間貯蔵施設の確保が課題となっている。高浜の場合、稼働中の3、4号機に加え、19年以降の再稼働をめざす1、2号機も動けば20年代半ばには満杯になる計算だ。
 西川知事はこれまで中間貯蔵施設は県外に建てるように関電に要請してきた。関電も福井県外を前提に20年までに建設地を決め、30年ごろに稼働する方針を示していた。
 岩根社長は23日、県庁で知事と会談した際、従来のスケジュールは変えず、関係者に了解を取り付けたうえで18年中に候補地を示すと表明。26日に県庁を訪れた世耕弘成経済産業相も国として積極的に取り組むと約束した。西川知事は27日の記者会見で「使用済み核燃料の県外立地に対する態度などを総合的に勘案した」と評価した。
 岩根社長は協議している自治体があることを明らかにしたが「具体的な内容は控えたい」と述べた。地盤の硬さや重量物が運搬できる港があるなどの条件を挙げたうえで、関電管外も含めて検討していく方針も示した。
 中間貯蔵施設の確保に関して関電の切迫感は強いが、ほかの電力大手も同様の問題を抱える。伊方原発3号機が再稼働した四国電力は16年12月に使用済み核燃料を空気で冷やす乾式貯蔵施設の導入を検討すると表明した。保管プールが24年度ごろに満杯になる可能性があるためだ。佐伯勇人社長は27日、「18年3月末までに検討結果をまとめたい」と述べた。
 ただ乾式貯蔵は伊方原発敷地内を想定し「再処理工場に搬出するまでの一時的な保管施設」としての位置づけ。敷地外の中間貯蔵施設とは一線を画す。愛媛県の中村時広知事は5月に原子力規制庁を訪れ、国としての取り組み強化などを求めている。
 中間貯蔵施設では東京電力ホールディングスなどの施設が青森県むつ市にあるが操業が遅れている。

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