[2017_11_28_06]廃炉産業 鎌田慧(ルポライター)_東京新聞2017年11月28日_「本年のコラム」より(たんぽぽ舎2017年11月28日)
 
参照元
廃炉産業 鎌田慧(ルポライター)_東京新聞2017年11月28日_「本年のコラム」より

 本気なのか、と目を疑ったのが、日本原子力発電(原電)東海第二原発の運転延長申請報道である。運転開始から来年で40年、廃炉の年限が来ているのに、さらに20年も運転するという。
 茨城県にある東海原発は、首都圏に最も近いポンコツ原発である。30キロ圏内には、14市町村96万人が暮らしている。事故が発生したとき、およそ100万人の人間がどこに逃げるのか。まともな神経があるなら、踏み込めない恐怖の再稼働である。
 フクシマでは、避難の逃避行で多くの入院患者が死亡した。故郷と生業を失って自殺者が出た。子どもたちに甲状腺がんがふえ、避難者の経済的困窮は深まり、地域の放射能汚染は消えず、汚染水は止まらない。安倍首相の「アンダーコントロール」などまっ赤なウソだったことが、時間とともに証明されている。
 それでも、再稼働の号令をかけている官邸は、原爆が落とされてもまだ聖戦をあおっていた「大本営」の無責任な頑迷さだ。原発敗戦をみとめ、復興にむかうべきだ。
 1基5千億円以上と見込む廃炉作業で、地域経済を立て直せばいい。再稼働のための安全対策費千八百億円は、無駄な投資だ。廃炉費用に回した方がはるかに経済効果が高い。電力会社もち合いの原電は「日本原子力廃電」として、安全な廃炉の技術確立に役立ってほしい。 (11月28日東京新聞27面「本音のコラム」)

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