[2017_11_28_03]<エネルギー基本計画>長期見通しで議論へ 有識者委(毎日新聞2017年11月28日)
 
参照元
<エネルギー基本計画>長期見通しで議論へ 有識者委

 ◇原発の新増設に踏み込む可能性も
 経済産業省は28日、国のエネルギー政策の基本方針を定める「エネルギー基本計画」の改定に向けた有識者委員会を開いた。2050年を見据え、より長期的な地球温暖化対策やエネルギー政策について議論を進める方針を確認。現存の原子力発電所の老朽化に伴う廃炉が進むことが想定されるため、今後の議論では原発の新増設や建て替えの必要性に踏み込む可能性も出てきた。
 有識者委は、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の分科会。今回の計画改定を巡っては、この分科会とは別に、世耕弘成経産相の私的勉強会に位置づけられる「エネルギー情勢懇談会」で50年を見据えた長期的視点に立った議論が進められている。この日の会合では、今年度中にとりまとめられる情勢懇の報告を踏まえ、来春から有識者委でも50年に向けた議論を始めることを確認した。
 現行のエネルギー基本計画は、30年の電源構成(エネルギーミックス)の目標を示し、全エネルギーに占める原発の比率を20〜22%に設定している。40年で原発を原則廃炉とする方針を守れば、30年の比率は15%に落ち込むが、原子力規制委員会の審査に合格すれば最長20年の運転延長ができるため、達成は可能とされる。
 しかし、50年には運転延長した原発も60年の最終期限を迎えるなど廃炉が相次ぎ、一定の原発比率を維持するためには新増設・建て替えが必要となる。地元の反対などで再稼働でさえ難しいのが現状だが、経産省は「原発は安定的な電源」として一定割合の確保は長期的にも不可欠とみている。
 この日の会合で、坂根正弘委員長(コマツ相談役)は「50年を議論する上で、温暖化問題を真剣に議論する必要がある」との見方を示した。政府の計画では、50年までに温室効果ガスを80%削減する目標を掲げており、発電の際に二酸化炭素を排出しない原発の新増設や建て替えが議論されるとみられる。
 ただ、原発への不信感は依然として根強く、新たな基本計画に新増設などを盛り込むには慎重な議論が求められそうだ。【片平知宏】

KEY_WORD:_: