[2017_11_14_04]廃炉廃棄物 原発敷地外で管理(東京新聞2017年11月14日)
 
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廃炉廃棄物 原発敷地外で管理

 原発の廃炉などで出るほとんど放射性物質を含まない廃棄物を集約して管理するため、大手電力でつくる電気事業連合会(電事連)が原発敷地外に施設の建設を検討していることが分かった。大手電力は老朽原発の廃炉を進めており、大量の廃棄物が原発敷地にたまり、作業の障害とならないようにする狙いがある。
 原子炉等規制法は健康への影響がほとんどないほど放射性物質の濃度が低い廃棄物を、普通の産業廃棄物と同様に再利用できる「クリアランス制度」を設けている。しかし、廃棄物の放射性物質濃度がクリアランスの基準値以下であることの確認手続きに時間を要する上、一般への周知が不十分で受け入れ先が原子力関連施設に限られる現状があり、大部分の廃棄物は原発敷地内に保管されている。
 現在、廃棄物が基準を満たしているかどうかを確認する作業は各原発で実施している。電事連の検討案では、管理施設を建設して各原発の廃棄物をいったん集約。分別や放射線測定などを行い、基準を満たしたものは再利用する。基準を満たさずに放射性廃棄物として扱う必要があるものは、それぞれの原発に返還する。
 電事連の試算によると、原発一基の廃炉で出る廃棄物は約五十万トンで、放射性廃棄物として処分する必要のあるものは二万トン程度となる。廃棄物の大部分を占めるコンクリートなどはクリアランスの基準を満たすとみられるとしている。

 <クリアランス制度> 原発の運転や廃炉によって出るコンクリートや金属の廃棄物には、放射性物質の濃度が極めて低く、健康への影響がほとんど無視できるものがある。これらを国の認可や確認を経て、一般の産業廃棄物と同様に再利用や処分ができるようにした制度。認可の基準は廃棄物から受ける被ばく線量が年間0・01ミリシーベルト以下。日本原子力発電東海原発(茨城県)の廃材が認可されたが、再利用は原子力関連施設のブロックやベンチなどにとどまっている。

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