[2017_10_15_04]大飯原発30キロ圏、不安相次ぐ 説明会に住民「不十分」(京都新聞2017年10月15日)
 
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大飯原発30キロ圏、不安相次ぐ 説明会に住民「不十分」

 関西電力が来年1月中旬以降の3、4号機再稼働を目指す大飯原発(福井県おおい町)に関する住民説明会がこのほど、約30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)がある京都府南丹市と京丹波町で開かれた。原子力規制庁や内閣府の担当者が防災への対応を説明したが、住民からは安全確保に向けた支援や避難対策などに不安の声が相次いだ。
 大飯原発のUPZ圏には、南丹市美山町に1504世帯3352人、京丹波町和知地域に120世帯278人(4月1日現在)が住む。両市町の説明会では内閣府の担当者が避難計画を紹介。高畑康之地域原子力防災推進官は「関係自治体の要請に応じ、財政的支援を行う」と説明した。ところが、具体的な質疑応答になるとトーンダウンした。
 4日に開かれた京丹波町の説明会では、5地区でつくる北部振興会の藤田正之会長(64)が避難道の複数ルート化を求めたが、高畑推進官は「自衛隊がヘリなどで救援する。国土交通省や経済産業省、関連自治体などとの協議が必要」と答えるにとどめ、検討する姿勢は示さなかった。
 避難計画の実効性について、住民に不安を感じさせた点も多い。降雪時の避難経路の確保について「関係市町は毎年度除雪計画を定め、10センチの積雪で除雪している」と説明したが、従来の体制を示したに過ぎない。ある町関係者は「1月の大雪で、住民が身動きできなくなった事態を理解できていない」と怒りをあらわにした。
 10日にあった南丹市の説明会では、田歌区長の鈴木直彦さん(52)が、安定ヨウ素剤の事前配布を求めた。内閣府の担当者は「UPZの人はまず屋内に退避し、モニタリング結果を見て避難する。内部被ばくのリスクは低いと考えられ、事前ではなく、必要に応じて配布する」と回答。説明会の後、鈴木さんは「数千人が避難する状況で、配布できる態勢を整えてから配るのでは遅い。説明は現実的でない」と話した。
 平屋振興会長の外田誠さん(56)は「原発が近い環境で住民は肉体的、精神的負担を感じているのに具体的な支援は何も言わない。とても納得できる説明ではない」と憤った。
 説明会の在り方に疑問の声も聞かれた。今回、70人が出席した京丹波町は和知地域の住民であれば誰でも参加できた。一方、南丹市は「対象人口が多く、混乱する可能性や会場の都合を考えた」として、対象を区長や振興会長に制限した。
 会場は252席あったが、出席者は約120人。半分以上が空席だった。福島第1原発の事故を受け、東京都から同町に子どもと自主避難している介護職員増田幸枝さん(47)は会場まで来たが市職員に入場を止められ、「一般住民が入れないのはおかしい。意見を受け付けない姿勢を感じる。住民への説明が済んだことにする、形だけの開催ではないか」と不信感を募らせていた。

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