[2017_10_05_05]抗議声明 原子力規制委員会は柏崎刈羽原発の適合性審査書を取り消せ 東京電力は自らの責任を全うしようとする姿勢がない 2017年10月5日 たんぽぽ舎(たんぽぽ舎2017年10月5日)
 
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抗議声明 原子力規制委員会は柏崎刈羽原発の適合性審査書を取り消せ 東京電力は自らの責任を全うしようとする姿勢がない 2017年10月5日 たんぽぽ舎

 10月4日、原子力規制委員会(規制委)は東京電力(東電)柏崎刈羽原発の新
規制基準の適合性審査について事実上の審査合格となる「審査書案」を決定した。沸騰水型軽水炉としては初めての「合格」である。

1.東京電力には再稼働申請をする資格はない

 福島第一原発事故の当事者である東京電力。原因究明も途中なのに再発の防止策など確定しようがない。原因究明と再発防止が終わらなければ話は先に進まないのが常識である。
 ところが原子力規制委員会は東電の「姿勢」(「本年7月10日の原子力規制委員会との意見交換に関する回答」8月25日付東電作成)なる、およそ科学的にも何ら根拠にならない一通の文書を以て「原発運転の資格がある」などとしている。
 東電と規制委の間での審査会合の記録はインターネット上でも公開されているが、この内容をいくら見てもなぜ審査合格に出来るのか、全く理解が出来ない。
 文書も会合での発言も東電は自らの責任を自覚しているとは感じ取れないし、柏崎刈羽原発で起きた免震重要棟の耐震「偽装」行為も真に反省し対策をしている訳でもない。
 免震重要棟の代替施設があれば良いとする規制委の態度は、今後もこういった事件をいくら繰り返しても最終的には問題にならないとの実態をさらけ出したと言わざるを得ない。
 少なくても地震による液状化で防潮堤の倒壊の危険性と免震重要棟の耐震性能不足が露呈した段階で規制委の審査は打ち切られるべきだった。

2.東京電力は自らの責任を全うしようとする姿勢がない

 現在行われている福島廃炉と賠償を他電力や新電力及び消費者に転嫁する「電力システム改革」「東電再建のための新々総特」は、いずれも東電側が「このままでは経営破綻する」と政府を脅して作られてきた経緯がある。
 自らの責任分担を他に転嫁する姿勢は、およそ社会通念上も認められない。事故当事者が他の事業者に賠償を肩代わりさせるなど聞いたこともない。日航機墜落事故の賠償金を同じ航空会社だからといって全日空に請求するようなものである。
 このことがモラルハザードとなり、他の原子力事業者にも大いなる悪影響を与えてきたし、今後も与えるであろう。
 例えば最悪の事故を起こせば原発の比ではない事態になる再処理工場を有する日本原燃は再処理事業の開始延期を繰り返しているが、その損失は事実上消費者につけ回されている。一種のモラルハザードは原子力業界に蔓延しているのである。
 再稼働を進めて次の原発事故が起きても、経営者には何の責任追及もなく、賠償は他電力や新電力、引いては消費者から取り立てれば良いなどと高を括る電力会社が現れるだろう。その責任は原子力規制委員会にある。

3.市民の声を聞け−東電福島第一原発事故被害者たちの声を聞け

 現在、原発の是非は総選挙の争点になっている。
 いつ世論調査をしても6割から7割が「原発ゼロ」に賛成している。そのような中で原子力規制委員会は「それは政治の仕事」として、一切考慮していない。
 しかし、特に東電柏崎刈羽原発については、事故の当事者であり被害者がまだ5万人も故郷に帰れず、切り捨てられた避難者も大勢いる現実はあまりにも重い。
 柏崎刈羽原発に規制委が見学に行くのならば、仮設住宅や県外に避難している住民の中に入って膝を交えて気持ちを聞くべきだ。
 東京電力という会社がいかなる会社かを東京電力から聞いただけで分かるわけがない。東電と日々賠償交渉を行い、冷たく打ち切られてきた人々の声や、生業を奪われ、家畜を殺され、農地を破壊された人々の生の声に耳を傾けなければ、真の原発事故の実態を知ることなど出来ない。
 「審査書案」に対しては、多くの反対意見が集まるであろう。それに福島、新潟両県の住民の声も集まってくるだろう。
 原子力規制委員会は「審査書」を決定する前に、パブリックコメントと同時に少なくても福島、新潟両県の住民に対して公聴会を開き、市民の間に入って声を聞くべきである。
 これがおこなわれない限り、原子力規制委員会は「審査書」を撤回し、「審査」合格を取り消すことを求める。

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