[2017_09_23_03]「台風とハリケーン」日米原発の対応に大きな差が 米国は十分な対策があると自信を持っていたとしても原発を「予防停止」する 日本にはその感覚が電力会社にも規制当局にも自治体にも無い 山崎久隆(たんぽぽ舎)(たんぽぽ舎2017年9月23日)
 
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「台風とハリケーン」日米原発の対応に大きな差が 米国は十分な対策があると自信を持っていたとしても原発を「予防停止」する 日本にはその感覚が電力会社にも規制当局にも自治体にも無い 山崎久隆(たんぽぽ舎)

◎9月に襲った台風とハリケーン
 2017年9月に日本に襲来した台風18号は、史上初めて九州、四国、本州、北海道すべてに上陸した台風だった。瞬間最大風速は種子島で38.6メートルだった。
 日本列島に深い爪痕を残し、北海道にも大きな被害が出た。濁流が押し寄せた町もあり雨が止んでも氾濫が起きた。各地に大雨、記録的短時間大雨情報が発せられ大規模な災害になった。
 一方、同じ時期に米国ではハリケーン・イルマが襲来、カリブ海諸国やフロリダ州を中心に大規模な災害を引き起こした。
 このハリケーンでは米国の原発が運転を止めている。

◎米国は原発を停止
 フロリダ州には2箇所の原発に4基の加圧水型軽水炉がある。ターキーポイント3、4号機(1、2号機は石炭火力)、セントルーシー1、2号機で、それぞれ1基ずつが稼働していた。しかし電力会社はイルマの襲来前に原子炉を止めていた。
 これらの原発は米国では少数派の海水冷却を行っている。そのため「4.5mの高潮警報」は深刻な問題だった。
 例えばターキーポイント原発は海抜6mの所に建っている。高潮被害に遭えば津波で壊滅した福島第一原発事故の二の舞になりかねない。予防的措置として電力会社が原発を停止した。
 イルマは最大瞬間風速70メートルに達する超大型ハリケーンだったが、原発に最も接近した時には40メートル程度に弱まっていた。
 米国では過去に「あわや」という事態を経験している。

◎過去のハリケーンで原発が遭遇した危機
 2012年10月29日、ハリケーン・サンディが米国東海岸に上陸し、ニューヨークを中心に大規模な高潮被害(74年ぶりとのこと)を受けた。ニューヨークでは地下鉄が浸水し、マンハッタンを含めて大規模な停電が発生した。金融取引も麻痺状態で被害額は約8兆円に達し史上2位の経済損失だった。
 このとき、ニューヨーク州のナインマイルポイント原発1号機とインディアンポイント原発3号機では送電網が障害を受け原子炉が自動停止し、ニュージャージー州のセーラム原発1号機は取水用の循環水ポンプが海水の浸入で故障し手動で原子炉を停止している。

◎日米の原発への対応の違い

 日本では、台風の直撃を受けようと竜巻注意報が出ようと、原発を止めたことは一度も無い。
 今回の台風18号に際しても、規制庁は何の指示もしなかった。
 福島第一原発事故で津波被害の恐ろしさを経験しているのに、同様に大規模な浸水被害をもたらす恐れがある高潮にはさしたる警戒感も無い。
 米国は十分な対策があると自信を持っていたとしても「予防停止」を行う。
 日本にはその感覚が電力会社にも規制当局にも自治体にも無い。
 これが事故を準備する行為だと知らずに。

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