[2017_08_29_02]玄海再稼働「見切り発車」の批判も 新たな安全対策は後回し 九電、来年1月表明 佐賀県 [佐賀県](西日本新聞2017年8月29日)
 
参照元
玄海再稼働「見切り発車」の批判も 新たな安全対策は後回し 九電、来年1月表明 佐賀県 [佐賀県]

 九州電力が28日、玄海原発3号機(玄海町)の再稼働時期を「来年1月中」とする見通しを示した。今後の地震に備えた特別点検も3、4号機で始まり、“原子力の火”を再びともそうと着々と準備を進める。ただ、地震観測点の設置など「新たな安全対策」とする取り組みはいずれも来年度の実施で、再稼働に間に合わない。安全対策では、離島の避難支援については触れておらず、反対する市民団体からは「見切り発車」との批判も出た。
 九電は同日、新規制基準による再稼働で最終的な手続きとなる「使用前検査」を原子力規制委員会に申請した。順調に進めば、再稼働は「18年1月中になる」といい、2月中にも営業運転を始め、電力の供給を開始する見通しという。
 特別点検は、こうした新規制基準や法にのっとった手続きや検査とは別に、九電が熊本地震をきっかけに今後の地震に備え、独自に取り組むものだ。川内原発(鹿児島県)で地元の要請を受けて始め、「玄海でも同様の安全対策を行う」(九電)という。
 九電は「特別点検は営業運転前に終える」とするが、その内容は、ボルトに緩みがないかや配管に異常がないかなど「当然」とも言える内容がずらり。周辺の住民からは「これで本当に安全性が高まるのか」といった不安も漏れた。
 さらに「新たな安全対策」とする取り組みは、いずれも実施は来年度になる。
 具体的には、今後の地震に警戒し、地震観測点を初めて原発敷地外となる福岡、佐賀、長崎3県の21地点に置く。場所は、半径30キロ圏内にとどまらず、圏外の長崎県壱岐市や対馬市などの離島や福岡市にも及ぶ。
 住民避難の支援としては、半径30キロ圏内の自治体に福祉車両を追加配備。5キロ圏内の自治体に避難道路へのアクセスを改善し、街路灯も設置するというが、いずれも実現は「再稼働後になる」(九電)という。
 「全国的にも多い」(内閣府)という半径30キロ圏に20ある離島からの避難支援について、九電は「福岡、佐賀、長崎3県と調整していく」と具体化していない状況だ。

KEY_WORD:GENKAI_: