[2017_07_16_04]地元理解、遠い道のり=再稼働へ残る不安−免震棟問題、柏崎刈羽原発(時事通信2017年7月16日)
 
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地元理解、遠い道のり=再稼働へ残る不安−免震棟問題、柏崎刈羽原発

 2007年の新潟県中越沖地震では、東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)が想定を超える揺れに襲われて原子炉が緊急停止し、3号機の変圧器で火災が発生するなどの被害が出た。地震後、東電は事故時の対応拠点として免震重要棟を建設したが、今年に入り耐震性に問題があることが発覚。原子力規制委員会の審査は大詰めを迎えているが、地元からは不安や疑問の声が上がっており、再稼働に理解を得るのは容易ではない。
 中越沖地震では「緊急時対策室」が入る建物が損傷し、情報伝達の遅れにつながった。免震重要棟は09年、中越沖地震と同規模の揺れに耐える免震構造の拠点として完成。福島第1、第2原発にも建設され、11年の原発事故では現場の司令塔として役割を果たした。
 しかし今年2月、東電が免震重要棟の耐震性に問題があることを把握しながら、規制委に誤った説明を続けていたことが発覚。東電は免震重要棟を「サポート設備」と位置付け、5号機の原子炉建屋内に「緊急時対策所」を設け、新規制基準が求める事故対応拠点とする方針に転換した。
 これに対し、柏崎市の桜井雅浩市長は5号機の対策拠点が免震重要棟より狭いことを踏まえ、「福島事故では多くの人が免震重要棟の中で右往左往した。5号機でいざという時の対応ができるとは思えない」と指摘。新潟県の米山隆一知事も「今の方法が本当に良いのか疑義が残る」とし、規制委に徹底した議論を求めている。
 住民の間にも不安が広がる。柏崎市、刈羽村の住民と東電、自治体が毎月意見交換する「地域の会」では問題発覚後、東電に詳細な説明を求める意見が相次いだ。会長の桑原保芳さん(69)は「住民の不安と東電の説明には温度差を感じる」と話す。
 6月に就任した東電新潟本社の橘田昌哉代表は記者会見で「中越沖地震の反省を踏まえ、安全対策に主体的に取り組む」と強調したが、理解を得るには時間がかかりそうだ。

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