[2017_06_13_02]<玄海原発>「残念」住民ら怒り込め 再稼働差し止め却下(毎日新聞2017年6月13日)
 
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<玄海原発>「残念」住民ら怒り込め 再稼働差し止め却下

 司法の壁は厚かった。佐賀地裁は13日、九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)に対し住民らが求めた再稼働差し止めの仮処分を認めず、申し立てを却下した。「命と古里を守りたい」との思いで申し立てていた住民らは憤りをあらわにした。【池田美欧、石井尚、山下俊輔】
 「不当判決」「フクシマを学ばず」「事故があっても再稼働か!」。決定が出た直後、申立人らが佐賀地裁(佐賀市)前で三つの垂れ幕を掲げると、集まった支援者ら約40人からは「信じられない」と嘆きの声が漏れた。弁護団長の冠木(かぶき)克彦弁護士(74)は「(原発が)地震に耐えられるかが大きな争点になったが、我々が提起した問題はほとんど考慮されていない。つまり住民側に立った決定ではなく、安全性を無視した決定だ」と非難。弁護団の武村二三夫弁護士も「裁判所は国策に対して歯止めをかけにくい流れがあるように思う」と残念がった。
 熊本市から駆けつけた支援者の勝連夕子さん(58)は「熊本地震のような地震が起きれば危ない。地震でも避難できなかったのに事故になれば放射能を避けることはできない」と不安を訴えた。
 「残念と悔しさと怒りでいっぱい。弱い人を守るのが裁判所のはず。経済、政治に追従した判決(決定)だ」。仮処分を申し立てた「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」代表の石丸初美さん(65)も怒りを込めた。
 石丸さんは原発反対運動を始めて11年。以前は4人の子供を育てる自称「平和ボケしたおばちゃん」で、政治にもあまり興味はなかった。転機となったのは2006年、高校の恩師からの誘いに何となく参加してみた原発に関する勉強会だった。事故の可能性を「無い」とは言い切れないのに原発政策を推し進める国や電力会社に対し「子供たちの未来が壊されてしまう」と怖くなった。
 活動にのめり込んでいくほどに友人は離れていった。それでも子供たちの未来のためにと続けてきた石丸さん。今回、住民の訴えは届かなかったが「原発を止めるまで闘っていきたい」と気持ちを新たにした。

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