[2017_06_12_01]<福島第1>排気筒を遠隔操作で解体(河北新報2017年6月12日)
 
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<福島第1>排気筒を遠隔操作で解体

 東京電力福島第1原発の1、2号機共通排気筒(高さ120メートル)について、東電は大型クレーンで解体装置をつり下げ、上から順に撤去する工法を採用する方針を明らかにした。高さ100メートル超の構造物を遠隔操作で解体する工事は前例がない。福島県の企業が提案した技術を基に装置の開発を進めており、2018年度中の着手を目指す。
 東電は、筒身と支柱の鉄塔をそれぞれ切断、撤去する2種類の解体装置を開発する。国内外に技術提案を呼び掛け、福島県内の企業が提案した工法を採用した。詳細設計を行っている。製作期間短縮のため、汎用(はんよう)部品を組み合わせて完成させる。
 装置は排気筒に自らを固定する機器を複数備え、放射性物質の飛散を防ぐ薬剤を散布する機能を持たせる。鉄塔や筒身に取り付いた後、ロボットアームなどに装着したカッターで部材を切断。20個程度に切り分けて地上につり下ろす。
 実物大施設を使った操作訓練などを経て、18年冬に工事に着手。撤去完了には1年程度かかる見通し。
 排気筒は事故時のベントで高濃度の放射性物質を含んだ水蒸気が通り、放射線量が高い。水素爆発による亀裂が高さ66メートル付近を中心に複数見つかっている。
 東電は耐震評価で「直ちに倒壊する恐れはない」と判断したが、リスク低減のため、55メートル付近から上の部分の撤去を計画。雨水が流れ込んで高濃度の汚染水が発生するのを防ぐため、切断後は筒身にふたを付ける。
 鉄塔などの解体は通常、構造物のそばにクレーンなどを立て、有人作業で行う。東電は16年9月、小型無人機「ドローン」を使って排気筒の線量を調査。作業員の被ばく低減対策と解体工法を検討してきた。

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