[2017_06_07_01]<日印原子力協定>原発輸出、増すリスク(毎日新聞2017年6月7日)
 
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<日印原子力協定>原発輸出、増すリスク

 政府は日印原子力協定の締結によって、原発輸出の拡大を目指す。しかし、福島第1原発事故後に原発の建設費用が上昇するなど海外事業のリスクは高まっており、米原発子会社の破綻で東芝が経営危機に陥るなど、日本企業による積極展開の機運はしぼんでいる。
 福島事故後に国内での新設が困難となる中、日本政府は成長戦略の一環として原発をインフラ輸出の柱に位置づけ、各国との協定締結を進めてきた。電力不足によって今後の新規建設ラッシュが見込めるインドは有望な市場だ。
 だが、インドには原発事故が発生した際、電力会社がメーカーに賠償請求できる法律があり、巨額の賠償責任を問われる恐れがある。日本メーカーは「インドは巨大な市場だが、賠償法の問題があり、今後の状況を注視していく」(三菱重工業)などと、期待の一方で、慎重な姿勢も目立つ。
 東芝子会社の米ウェスチングハウスは、米国での原発建設費用の高騰が破綻の引き金になるなど、事業リスクは増している。龍谷大学の大島堅一教授(環境経済学)は「再生可能エネルギーは費用も下がり、投資が拡大している。原発の退潮は明らかで、無理のある協定だ」と批判している。【片平知宏、古屋敷尚子】

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