[2017_05_10_03]福島第一原発事故で距離的には遠い飯館村で高濃度の放射能汚染が発生したことを忘れたのか 福島県浪江町の山林火災について 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)〕(たんぽぽ舎メルマガ2017年5月10日)
 
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福島第一原発事故で距離的には遠い飯館村で高濃度の放射能汚染が発生したことを忘れたのか 福島県浪江町の山林火災について 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)〕

 福島県の山火事で放射性物質が飛散するという懸念を報道した新聞社に対して、風評を煽るとして抗議が寄せられ、新聞社が謝罪する事態が発生した。
 福島県等は「周辺の線量が上がっていない」との理由で飛散を否定しているが、これ自体が非科学的で誤った説明である。
 というのは下記の※に示すように、拡散による最大濃度は、現場からかなり離れた地点で出現するからである。

 ※説明のための概念図であり放射線量を直接示すものではありません。

 そもそも福島第一原発事故では、原発近隣よりも距離的には遠い飯館村で高濃度の放射能汚染が発生したことを忘れたのか。
 高温の空気塊が舞い上がって拡散するという現象は、建屋の爆発でも山火事でも物理的には全く同じである。
 検討もしないで直ちに「風評だ」と断定する姿勢自体が疑わしい。「美味しんぼ」事件が今も続いているように思える。
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          (5月9日福島民友新聞11:38配信より)

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 原発事故で帰還困難区域になっている浪江町井手の十万山で4月29日に発生した山林火災は11日目の9日、鎮圧状態が続き、県や陸上自衛隊、双葉消防本部などが早朝から消火活動に当たったが鎮火には至らなかった。10日も早朝から消火活動を続ける。
 現地災害対策本部によると、8日午後6時ごろ、陸自のヘリが火災現場を偵察した際、ヘリに搭載した赤外線カメラで熱源1カ所を確認した。
 9日早朝に再度ヘリで火災現場を偵察したところ、同山南側付近で新たに熱源3カ所、白煙2カ所が見つかった。  (5月10日福島民友新聞08:12配信より)

※「鎮圧」と「鎮火」の違いについて
 鎮圧(ちんあつ)は火の勢いが収まった状態。
 鎮火(ちんか)は火が完全に消えた状態。
「消防士の知恵」より

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