[2017_04_18_05]電力会社に寄り添い緩やかで不合理な規制を続ける原子力規制委員会 炉規法改正で東電の隠蔽体質を容認、反対意見を無視 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その132 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎メルマガ2017年4月18日)
 
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電力会社に寄り添い緩やかで不合理な規制を続ける原子力規制委員会 炉規法改正で東電の隠蔽体質を容認、反対意見を無視 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その132 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 去る4月5日の田中規制委員長定例記者会見でフリー記者まさのあつこさんが重要な質問をして田中委員長の電力会社に寛容な姿勢を明らかにした。以下に紹介する。

○「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(炉規法)の改正で東電の隠蔽を容認
記者:東京電力は、2002年にシュラウドひび割れを隠蔽(原発トラブル隠し事件)、2010年にメルトダウンを隠蔽、2017年2月まで2年間柏崎刈羽原発免震重要棟の耐震不足を隠蔽、と続けて隠蔽してきている(そして2011年3.11事故)。隠蔽とか公表の遅延があった場合にその炉を廃止するような厳しい規制が必要では?
田中委員長:「隠蔽」と言う言葉が適切なのかどうか。程度問題というのありますから、それはそう簡単に法律で決められない。
記者:かなり厳しい規制が必要なのでは?
田中:それは1F事故の反省を踏まえて、新しい規制基準という形で、十分に反省した、教訓を踏まえた形の規制基準になっていると思います。

 以上で分かるように、事故前の隠蔽にも「新規制基準」下での「隠蔽」にも田中委員長は寛容である。
 なお、まさのあつこさんは、炉規法改定の閣議決定直後に東電が柏崎刈羽免震棟を公表したことも指摘した。
 田中委員長が大好きな言葉「安全文化」で済まさないで、炉規法を改善するべきだったのに「原子力マフィア」を想い測ってそうはしない。

○NRC(米国原子力規制委員会)のいいとこ取りして、反対意見を聞かない規制委
 炉規法改正について、NRCの検査制度をひな形にしてより良いものにする、との説明に対して。

記者:NRCはそういった規則改正をするときに、必ず一番厳しいことを言っているNGOとか、現地の事業主体や、自治体の州の担当者などからヒアリングをする
田中:ひな形ができた後にはパブリックコメントで意見を聞く
記者:一番厳しいことを言っているNGOが招かれて意見を言っている
田中:やはり国情も違うし、国民性も違うから、いろいろありますからね。

 このシリーズで述べてきたように、原子力規制委員会の「新規制基準」は米NRCの基準に全く及ばない。
 例えば、15項目の未対応(その58)、「新規制基準」は世界最低水準?!(その102〜107)で示した。中でも深層防護の考えに反して原子力災害対策を規制対象としていない。

 それでも、ここで指摘されたNGOや自治体のヒアリングについては、規制委が率先してするべきことである。
 他の省庁でも同様とは言え、本来の規制委はもっと住民や反対意見を取り入れるべきだ。
 検討会などにも反対意見の専門家を排除していて、原子力安全・保安院のストレステスト意見聴取会よりもひどいのだから期待できないか。
 この記者会見で、今村雅弘復興相への西中誠一郎記者と同様にフリー記者が頑張って素晴らしい質問をした。他の記者たちにも発足直後の元気を取り戻してほしい。

KEY_WORD:田中俊一: