[2017_02_04_03]原発と沖縄をむすぶ運動 脱原発と沖縄の抵抗を結び保守の人たちにも支持される やわらかな運動がもっと必要でしょう 鎌田慧(呼びかけ人)(たんぽぽ2017年2月4日)
 
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原発と沖縄をむすぶ運動 脱原発と沖縄の抵抗を結び保守の人たちにも支持される やわらかな運動がもっと必要でしょう 鎌田慧(呼びかけ人)

 いま、沖縄でこの原稿を書いているのですが、沖縄に来るたびに、「あぁ福島」と思うのです。この二つの地名を繋ぐのは、「政治の犠牲」ということです。もう一つは、「カネの力」です。
 沖縄の翁長知事は、保守ながら「オール沖縄」を実現させた政治家です。保守をまとめて、これまでの「社共共闘」の固定観念を大胆に破りました。
 これまでの「革新自治体」の経験を乗り越え、中央政府と地方自治体は対等であることを実践しています。
 仲井真知事が、沖縄への交付金が増えたといって喜んでみせ、「これでいい正月が迎えられる」といった奴隷根性を真っ向から批判して、「沖縄のアイデンティティ」をあらためて問いかけたのでした。
 「誇りある経済」のスローガンもまた、沖縄の人びとを奮い立たせました。基地に依存しない経済は、沖縄の夢でした。すでに現実において、基地は地域発展の阻害物となっていたのです。

◎なんと原発経済の破綻と似ていることでしょうか。原発地域の経済的、精神的自立がもとめられているのです。
 翁長知事の眼の醒めるような政治姿勢は、鹿児島県知事選での保守派の分裂と反原発派が協力しての三反園知事誕生、それに力を得て、新潟県知事選での米山脱原発知事の登場と脱原発県政の継続、という状況を切り拓いております。
 たしかに三反園知事の優柔不断は、不安感を与えております。しかし、時代は「原発賛成」を政治家が公然と唱えることができない、という確固たる世論を形成したのです。

◎フクシマの壊滅的な事故は、原発が地域を破壊し、故郷と生業と雇用を奪い、廃炉と除染などに天文学的数字(21兆円以上)の損害を与えたことが明らかになっています。
 事故によって逃げ遅れた病者や老人、放射能に曝されて救助されなかった人びと、将来の健康が心配なこどもたちや被曝労働者、さらにその上に使用済み燃料の処分が絶望的なことも、重くのしかかっているのです。経済的な負担は、全部国民に押しつけられるベラボーです。

◎沖縄・高江の闘いは、あらたな米軍基地建設を認めない闘いばかりでなく、環境を未来に残す闘いでもあります。いま、安倍内閣によって、つんのめるように強引に進められている「オスプレイパッド」の建設は、「やんばるの森」の生態系を無残にも破壊しています。
 辺野古の、ジュゴンの海を潰して建設されようとしている、強襲揚陸艦とオスプレイの総合基地。高江はその付属の軍事施設です。それは再処理工場ともんじゅの関係に似ています。

◎安倍首相は訪米して、日米軍事同盟は「希望の同盟」などとエラそうにいいましたが、原発の「夢の増殖炉」といういいかたとそっくりです。
 戦争は最大の環境破壊ですが、原発は戦争よりも広大な地域を破壊します。基地建設は環境破壊の基地であり、建設のときからすでにさまざまな生物のいのちを殺しているのです。
 ましてや、プルトニウム中心の核燃料サイクルは、核爆弾に結び着く魔のサイクルです。
 辺野古と高江の新基地建設を、安倍内閣は「沖縄の負担軽減」と嘯(うそぶ)いていますが、実態は基地の再編強化です。クロをシロというのは、原発の再稼働を「会社の経営安定」(儲けのため)と経済の話にしながら、「核武装開発」の能力維持の狙いを隠すためのようでもあります。

◎外には派兵、内には美辞麗句と弾圧(辺野古と高江を見よ)。安倍戦争賭博内閣への対決は、脱原発と沖縄の抵抗を結び、保守の人たちにも支持されるやわらかな運動がもっと必要でしょう。

 出典:「さようなら原発1000万人ニュース」第21号2016年12月28日より
 了承を得て転載。

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