[2017_01_18_02]最低限の解析もせずに「炉心冷却機能に問題がない」と言ってしまう、規制当局に呆れる 「計測用配管の耐震性強化」の質問に対して 木村俊雄(元東電社員)(たんぽぽ2017年1月18日)
 
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最低限の解析もせずに「炉心冷却機能に問題がない」と言ってしまう、規制当局に呆れる 「計測用配管の耐震性強化」の質問に対して 木村俊雄(元東電社員)

 高知県の木村俊雄さん(元東電福一エンジニア)から、原子力規制委員会の見識に対し以下のようなコメントをたんぽぽ舎に送っていただきましたのでご紹介します(事故情報編集部)。
 木村さんのお知り合いの方が以下のやり取りを原子力規制委員会とされたそうです。
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 2016年12月14日の「計測用配管の耐震性強化がなぜ行われないのか」という私の質問に対し、12月20日に原子力規制委員会から回答をいただきました。
 それは、「計測用配管は小口径配管であり、漏洩があったとしても原子炉の冷却機能に影響を与えるものでないことから、耐震性の強化を求めていない」★というものでした。(以下省略)
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原子力規制委員会の上記の見解★に対して木村俊雄さんから一言

規制当局さま
先ずは、原子力規制委員会と原子力規制庁は、福島第一原発1号機の配管漏洩について、以下の事象検証を行う義務がある。

(1)原子力安全基盤機構が、「極小漏洩の可能性の有無を判断できない
(岩波書店、科学、2013年11月号、1227頁参照)。」と言っている事実の下、今回の炉心流量低下のデータにより、最小限界出力比(MCPR)の解析を全ての原子炉(福島第二原発含む)行うこと。

(2)さらに、日本原子力学会の「BWR(沸騰水型原発)における過渡的な沸騰遷移の燃料健全性評価基準:2003」に基づき、今回の福島第一原発事故の燃料挙動解析を全ての原子炉(福島第二原発含む)で行うこと。
 上記解析により、各原子炉において今回の事象でドライアウト、リウエットの有無やドライアウトの継続時間評価が可能となる。
 ここまで事象検証して初めて極小漏洩による原子炉および燃料への影響評価の第一ステップが終了する。
 この結果により、極小漏洩による原子炉および燃料の影響の有無が判明することになる。すなわち、今回の事象が炉心冷却機能へ影響したかどうかが判明するわけである。
 その上で、原子力規制委員会と原子力規制庁は、炉心冷却機能の問題の有無を論じたら、説得力があるわけである。
 しかし、最低限の上記解析もせずに、「炉心冷却機能に問題がない」と言ってしまう、規制当局の技術力のなさには全くお話にならず呆れるしかない。

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