[2016_06_10_04]【濃縮】沼津産(聞き取り調査で確認) アオザメ【14.9kg】(べくれるでねが2016年6月10日) |
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(前略) 本日の試料 アオザメ 賞味期限 2016.12.30 加工地 静岡県沼津市 [原材料詳細] 水揚げ年度 2016.1〜2月頃 捕獲場所 駿河湾内 水揚げ場所 静岡県沼津市 (※販売店への聞き取りによる情報) 今回の購入場所は、業販と言われる外食産業向けの通信販売業者であり、一般の方への販売はされていません。 [予備知識] 分布 世界中の暖海域に広く分布、外洋性 生態 体長約320p、重量60〜135s、寿命29〜32年 主食はマグロ、カツオ、イカ類で、食物連鎖の上位 水産 ソテー、味噌漬け、練り製品(はんぺん)、フカヒレ (※国内では広島県芸北地方で食べる習慣がある) 試料の前処理 今回は、静岡県沼津市にて水揚げされたアオザメ14.9kgの前処理を行います。 コンタミ対策として、クッキングシートをバット上に二重に敷いたうえで、80℃にて3日間一次乾燥を施しました。 写真は一次乾燥後の試料ですが、ここからさらに105℃にて4日間、150℃にて1日間二次乾燥を行い 乾燥が終わった試料がこちら この試料を更に粉砕したうえで、東京大学にてGe(ゲルマニウム)半導体検出器での測定を行いました。 その結果・・・ 測定結果(買ってきた状態での値へと換算しています) ※上記画像の無断転載を禁じます。 放射性セシウム両核種が検出されました。 134Cs(セシウム134):117(Bq/kg) 137Cs(セシウム137):590(Bq/kg) 合算707(Bq/kg)の放射性物質による汚染が確認できました。 (134Cs/137Cs比より、汚染の全量が福島原発事故に起因する汚染であることもわかりました。) 食品の放射性セシウムの基準値は、一般食品では100(Bq/kg)ですので この数値は、実に基準値の7倍超の値となります(※) (※)今回の測定結果を受け、基準値超過として関係機関へと通告済みです (ページ下部、本件の補足もご覧ください) この数値は、これまで測定をこなしてきた数百の試料の中で突出した値となっています。これまででの最高値は非流通品の神奈川県の干し椎茸(合算146.3(Bq/kg))となっていて、流通品においては2013年に自主測定したポルチーニ茸の106.2(Bq/kg)が最高値となっています。それと比較しても如何に今回の測定結果が高い値であるかがお分かりになるかと思います。 それと同時に、今回の検査がなければこれが外食産業へと流通し、何も知らない状態で提供されてしまっていたであろう事に驚きを隠せません。 測定時のスペクトルデータ アオザメスペクトル 上記図で赤文字で示された山(ピーク)が134Cs(セシウム134)、137Cs(セシウム137)、40K(カリウム40)のデータとなります。 (縦軸は対数表記となります) 余談ではありますが、乾燥された状態での汚染は3200(Bq/kg)に及びました。 検査結果に対する考察、ご意見 石丸さん(仮) 都内で一市民放射能測定室の代表を務め、全国の市民測定室データ結合プロジェクトの事務局長をしている石丸と申します。 この度、今回のアオザメの測定データをどう考えるか、べぐれでねがさんからご意見をお求めいただき、幾つか私見を述べさせていただきます。問題が大きいのでやや長文となりましたこと、ご了承ください。 まず、基準値の7倍近い測定値は、事故後5年経った海産物からの検出例としてはほぼ聞くところではなく大変驚いております。 また、「沼津水揚げ」ということですが、実際はこのアオザメがどの海域で捕獲されたものなのかが気になるところです。一般に、市販の海産物の産地表示は、漁獲した海域ではなく、水揚げ漁港を表示する形が普通ですから、実際は捕獲した水域がどの辺であるか。また、どのような形で生体濃縮(放射性物質を食物連鎖上位の生物が溜め込むこと)が進んだかの解明が、まず重要だと思います。 今回の測定を行った、べぐれでねがさんと東京大学の研究室では、サイトの他の記事を見ても分かる通り、高度な試料濃縮処理による、稀に見る精度の測定を多数行ってきておられ、このアオザメの測定データも信頼性が極めて高いものです。ネット上で見受けられる測定データや情報の中には、事実誤認や、残念なことに、稀に虚偽のものもあります。しかし、べぐれでねがさんで公開されている各データは、非常に手間暇をかけて試料調達および濃縮がなされ、震災以前から測定精度向上に余念のない専門家が高精度の長時間測定をしておられるので、疑いようのないものです。 今回のこの測定は、驚きを持って多くの方が目にすることとなり、拡散されていくことと思います。おそらく、多くの、特に小さいお子さんをお持ちの方が魚介類について改めて心配されるかもしれません。しかし、大型魚について、今回のような高濃度のケースは、ほぼ知られるところではなく、また、汚染地域の淡水魚や、事故原発港湾近くの飛び抜けた汚染度のものを除けば、この5年で一般的にはかなり数値は下がってきており、当初基準超検体がよく見つかっていたマダラなども数値が年々下がってきているのは一つの指標となります。 ただ、それだけに、今回のような基準値を7倍も上回る汚染の魚が見つかったことに驚きを禁じえず、原因特定と更なる検証の必要性を強く感じます。例えば、アオザメの寿命が30年前後であることから、高濃度汚染水が流れていた2011年当時に汚染度の高い海域にいたのではないか、などの仮説も浮かびます。 また、事故後5年経ち、関心が薄れる中で、やはりまだまだしっかりと水産物の測定を行っていき、事実確認を広範囲にしていく必要性が改めて感じられるところです。このようなケースはまだ他にもあるのかもしれません。 今回このような重要な検証・測定を行われたべぐれでねがさんと東大研究室の方の不断の測定活動と努力に敬意を表しますとともに、今後、各方面でのしっかりとした検証と問題の切り分け、そこからの対策につながってゆくことを切に願うところです。 こどもみらい測定所代表 みんなのデータサイト事務局長 石丸偉丈 サイトをご覧の皆様はじめまして。 この度、べぐれでねが管理人でいらっしゃる斉藤様より、青鮫の測定結果に関するコメントを仰せつかり筆を執らせて頂いております。飲食セーフティーネットワーク代表の藤井悠(フジイ ハルカ)と申します。 飲食ネットの理事であり、わたくしの従事するイタリアンレストラン「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」のマネージャーである味方のアドヴァイスのもと、我々の考える見解を書かせて頂こうと思います。 まず今回の件とは別に、海産物の汚染を考える際皆様に把握しておいて頂きたいのですが、「海産物の産地というのは捕獲場所と相違する事が多々ある」と言う事です。今回の青鮫は捕獲場所も水揚げ場所も駿河湾という事ですが、震災以前から様々な意図のもと、捕獲場所から遠く離れた漁港で水揚げされる例はございました。たとえ捕獲場所から遠くはなれていても、水揚げされた場所が産地となり皆様の手元に渡る事になります。 また、当たり前の事かもしれませんが、魚は泳いで移動してしまいます。 根魚と呼ばれる、基本的に同じ場所から動かない魚もいますが(カサゴ、メバル、クエなど)広く回遊する魚もいます。(マグロ、カツオ、ブリ、サンマなど) 青鮫は、中でも特に移動範囲が広く18ノット(35キロ)以上の高速で泳ぐサメだと言われています。また、普通のサメと違い青鮫は水深600m近くまで潜るので、底ものの汚染されやすい魚種も捕食していた可能性が高いと言えると思います。今回の青鮫は、切り身を見た感じおそらく150〜200kg前後の魚体ではないかと想像できますので、15〜20年くらいは生きている魚体だと思われます(鮫は70年以上生きる長寿とされている)。 移動範囲が北海道から琉球まで広域なことと生きている年数などをふまえて、これだけの汚染が見られると言う事は、震災当初から現在に至るまで、高濃度汚染海域の頻繁な回遊により高濃度汚染魚をかなり捕食していたのではないかと考察できます。 サンマやサバなどであれば比較的代謝が良く排出もしますが、ここまで大きくなっていると代謝が悪いのでなかなか排出せず、特にこの青鮫は18ノットという超高スピードで泳ぐため筋肉もしっかりしています。セシウムは筋肉に溜まりやすいので、濃縮して溜め込んでしまったのではないかと考えます。 飲食ネットの活動の一環として、定期的に直接沖釣りに出かけ、釣ってきた魚体を代々木市民測定所さんで詳細測定する取り組みを行っています。活動を通した結果や、べぐれでねがさん、こどもみらい測定所さん、みんなのデータサイトさんの結果なんかを見ていても、今回の測定結果が異端なデータだと言う事が分かると思います。こんなに高濃度に汚染された検体は、汚染地域のキノコや山菜、土壌以外ではかなり久しぶりにお見受け致しました。 人の口に入る食品からこうしてかなりの高濃度汚染が見つかった事は重く受け止め、対策を被る必要があると思いますが、反面、震災直後にずっと懸念していた事ですが、海産物をあまりとらなくなってしまう事で身体に起きるリスクも考えなければならない。と言う事です。 日本は島国であり、海からのミネラルにかなり恵まれた食文化を持っています。そのミネラルによって、初期被ばくのリスクを軽減出来た部分も少なからずあったのではないかと個人的には考えています。 味噌や醤油、梅干しなどの発酵食品も、その一旦に多いに貢献したのではないでしょうか。どうか極端に偏る事なく、日本食の文化を大事にして、選びながら海産物もきちんと摂取して頂ければと思います。 そして今回の結果は、斉藤さん、東大研究所の方の日頃から積み重なる努力なくしては判明しなかった事です。心よりの敬意とともに、こうして少しでも関わらせて頂ける事に感謝の気持ちを込めて。 飲食セーフティーネットワーク代表 藤井悠(フジイ ハルカ) (後略) |
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