[2016_12_22_05]日英、原発建設協力で覚書 日立・東芝の案件対象(日経新聞2016年12月22日)
 
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日英、原発建設協力で覚書 日立・東芝の案件対象

 日英両政府は22日、原子力分野で包括的に協力する覚書を結んだ。日立製作所と東芝が英国で手がける原発の新規建設を具体的な協力対象として明記。日本政府は原発の輸出を促進するため、今後英国側と資金支援の詳細な検討を進める方針だ。
 世耕弘成経済産業相が同日、来日したクラーク英ビジネス・エネルギー・産業戦略相と会談し、覚書を結んだ。クラーク氏は会談の中で、原発の新増設について「英国の産業戦略、クリーンなエネルギー開発を考える上で非常に重要だ」と指摘した。
 覚書では、日立傘下のホライズン・ニュークリア・パワーが英中部ウィルファで、東芝傘下のニュージェネレーション(ニュージェン)が英中部ムーアサイドでそれぞれ計画する原発について言及。両プロジェクトの進展に期待を表明した。経産省によると、日本政府が他国と原子力分野でこうした覚書を結んだ例はないという。
 日本政府はまず、国際協力銀行(JBIC)や日本政策投資銀行を活用したホライズンへの投融資の検討作業を英国側と進める。支援総額は1兆円規模になる公算が大きく、2017年中にも大枠を固める。ベトナムでの新設計画が中止になるなど原発輸出に逆風が吹く中で、英国の案件を着実に実現したい考えだ。
 覚書には、原子力の研究開発や、福島第1原子力発電所の廃炉や除染などでも協力を深めることを確認した。世耕氏は会談の中で、英国の欧州連合(EU)離脱に関して、ビジネス環境が急激に変わらないよう英国側に責任ある対応を要請。クラーク氏は日英の経済、貿易関係の維持のために「最大限のことをやっていきたい」と応じた。

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