[2016_12_19_04]高浜原発 隣接の自治会「反対」…1、2号機運転延長に(毎日新聞2016年12月19日)
 
参照元
高浜原発 隣接の自治会「反対」…1、2号機運転延長に

意見書を採択

 関西電力高浜原発(福井県高浜町)に隣接する高浜町音海(おとみ)地区の自治会が18日、原則40年と定められている原発の運転延長に反対する意見書を採択した。近く関電と県、高浜町に提出する。運転後40年超の高浜1、2号機は20年の延長を認められ、関電が再稼働を目指している。

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 立地自治会の反対意見書は異例で、関電や行政は対応を迫られそうだ。
 若狭湾に面した内浦半島の根元にある高浜原発に対し、音海地区(11月現在136人)は半島部分を占める形で隣接する。
 意見書は近く最終的にまとめるが、文案を基に採択した。文案は、東京電力福島第1原発事故以降「原発に対する負のイメージが増幅され、ますます人が寄りつかず衰退が加速する」と、運転延長が一層の過疎化をもたらすと懸念する。さらに関電などの説明不足を批判、高浜原発の安全対策工事の影響にも不満を示し、「高浜原発の運転延長に強く反対する」と結論づける。
 町中心部に行くには原発横の県道を通らなければならない音海地区は、「地元の中の地元」(文案)として原発と共存してきた。しかし福島第1原発事故後、住民の一人は「原発に対する信頼が大きく低下した」と話す。運転延長が決まっても、関電や行政から住民に対する説明は一度も無いという。一方で安全対策工事で県道はトラックが終日行き交うようになり、粉じんや騒音などで「迷惑を被るばかり」(文案)。
 提案者の一人の児玉巧さん(69)は、3、4号機運転差し止め抗告審が近く結審する見通しであることを挙げ、「考えてもらうのに良い時期だ」と話し、久貝訓秀区長(64)は「地区の総意として『40年超の運転延長はしなくて良い』ということだ」と説明した。【高橋一隆】

関西電力高浜原発

 福井県高浜町で1974年以降、1〜4号機が順次運転を始めた。いずれも加圧水型(PWR)。東京電力福島第1原発事故後の法改正で原発の運転期間は原則40年と定められ、1、2号機は40年を超す。ただ、原子力規制委員会の認可を受ければ1回だけ20年延長できる規定があり、1、2号機も今年6月に認可を受け、関電は2019年以降に再稼働する方針だ。一方、3、4号機は今年1〜2月に再稼働(4号機は送電直後のトラブルで緊急停止)したが、大津地裁が運転差し止めの仮処分を決定し、3月に運転を停止した。大阪高裁で抗告審が行われており、今月中に審理を終える。

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