[2016_12_02_08]鹿児島県知事_三反園訓様_要請書(原子力規制を監視する市民の会_川内原発30キロ圏住民ネットワーク2016年12月2日)
 
参照元
鹿児島県知事_三反園訓様_要請書

(前略)

2.川内原発は熊本地震のようなくり返しの揺れに耐えられません

 熊本地震では、最大震度が7の地震が間を置かずに2度発生しました。その後も一か月の間に最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回も発生しています。強い揺れを引き起こす地震が繰り返し発生しています。

<「疲労破壊」は比較的小さな応力でも影響する>
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は熊本地震後の記者会見において、「重要な機器は...弾性範囲に収まるようにという設計を求めています。だから5回、10回、100回ぐらいくり返しても何も起こらない」と述べています。
 しかし地震による大きな揺れだけでなく、原発の通常運転の起動時や停止時にかかるような比較的小さな応力でも、その累積により発生する「疲労破壊」という現象は、弾性範囲か否かには関係ありません。以下に示すように、老朽化している川内原発1・2号機は、その疲労破壊の評価から、比較的強い余震が来るなど、複数回の揺れには耐えられないことは明らかです。

<配管の劣化を想定した耐震安全評価は許容値ぎりぎり>
 川内原発1・2号機の再稼働前に、30年目の高経年化技術評価が行われました。その中にある伸縮式配管貫通部(伸縮)の疲労割れを前提とした耐震安全評価において、基準地震動Ss-1に対する累積疲労係数が、通常運転時で0.020
、地震時で0.944、合計0.964となっています(資料P6)。累積疲労係数は、起動時や事故時の熱変動や地震の揺れによる疲労への影響を累積して足し合わせたもので、1が許容値となります。基準地震動の繰り返しほどでなくても、余震等により累積疲労係数が4%程度増えただけでも許容値を超えてしまいます。

(表省略)

同じ高経年化技術評価における主給水系配管の減肉を前提とした耐震安全評価において、基準地震動Ss-2に対する累積疲労係数が0.991となっています(資料P13)。これも余震等により累積疲労係数が1%程度増えただけでも許容値を超えてしまいます。

<規制庁は「余震の影響は考慮していない」と断言>
 東京電力は、中越沖地震による柏崎刈羽原発6号機への影響を評価し、余震を考慮すると、主蒸気系配管の累積疲労係数は3割増しになるとの結論を得ています。
 上記の問題について、原子力規制庁は、先日11月28日に行われた国会議員及び市民との意見交換の場で、原発の耐震性評価では、余震の影響は考慮されていないことを認めました。その場で規制庁は、保守性を見込んだ計算を実施している、地震後に再評価を行うから問題はないなどと述べていましたが、時間をおかずに続けて強い揺れに襲われるような場合には、再評価を行っても間に合いません。保守性を見込んだ計算を実施するのは当然のことで、余震等の影響をあらかじめ考慮する必要がない理由にはなりません。これを行い安全性が確認できない限りは再起動を認めることはできないはずです。
(資料)川内原発1号炉の高経年化技術評価2014年7月13日九州電力:審査会合提出資料

(後略)

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