[2016_12_02_03]災害アーカイブ チリ地震津波 国際警報組織 設立契機に(東奥日報2016年12月2日)
 南米チリ南部沖で発生したマグニチュード9・5の大地震から23時間後、約1万7000キロ離れた日本に津波が到達し、北海道から沖縄までの太平洋沿岸に被害を与えた。津波の高さは最大6メートル。特に岩手、宮城両県の被害が大きかった。
 こうした遠地津波は1586年以降、現在までに約20回ある。だが三陸地方を対象に1941年から津波予報を始めていた気象庁は当時、遠く海外の地震による津波が国内に大きな被害を及ぼすという認識に欠けていた。最初の予報は午前4時59分。津波が到達した後だった。
 沿岸市町村の都市化が急速に進んでいた時代。岩手県大船渡市も商業地域として発展していたが、過去の津波を経験していない転入者が多くいたことなどから犠牲者が53人と甚大になったとされる。このため、同市では毎年5月24日前後に防災訓練が行われ、チリ地震津波の水位表示板も設置されていた。だが、東日本大震災ではさらに高い8メートルを超す津波に襲われ、再び多くの犠牲者が出た。
 チリ地震津波ではハワイでも834人の死者が出た。津波警報の国際的な連携の必要性が叫ばれ、65年には各国の情報交換の促進などを目的に太平洋津波警報組織国際調整グループが設立されている。【関谷俊介】
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