[2016_11_21_02]熊本地震 益城、地盤変化で木造被害集中 事前把握難しく(毎日新聞2016年11月21日)
 
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熊本地震 益城、地盤変化で木造被害集中 事前把握難しく

 今年4月の熊本地震で、熊本県益城町中心部で多くの木造家屋が倒壊するなど被害が集中したのは、地震によって木造家屋を破壊しやすい揺れを出すような軟らかい地盤に変化したことが原因だったとする研究結果を産業技術総合研究所(茨城県つくば市)と京都大防災研究所などのチームがまとめた。通常の調査ではこうした地盤の性質の変化を事前に把握するのは難しく、減災に向け家屋の耐震化の徹底が一層求められそうだ。
 同町中心部では、県道28号を挟むごく狭い場所で被害が集中したが、少し離れた所では被害が小さかった。被害が集中した地域では、木造家屋に被害を与えやすい周期1秒の揺れが、1995年の阪神大震災で最大だったJR鷹取駅の観測値を上回る強さで観測されていた。
 産総研などのチームは、木造家屋に被害をもたらす周期1秒の揺れが限られた範囲で強く出た原因を探るため、現地で観測された複数の揺れの記録や、被害集中域で行ったボーリング調査の結果から地下構造を分析。その結果、被害集中域の浅い地下にある地層が強い揺れで崩れてより軟らかくなり、周期1秒付近の地震の揺れを強くさせる性質に変わった可能性が高いことが判明した。
 研究結果をまとめた産総研の吉見雅行主任研究員は「被害の集中は、古い家が多かったことなどもあるが、最大の要因は地震による地盤の性質の変化にある。自治体が地盤の軟弱さを調べて情報提供するとともに、家屋の耐震化を推進することが必要だ」と指摘する。【飯田和樹】


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