[2016_10_29_01]<三反園知事>就任3カ月 「一生懸命走り続けた」 /鹿児島(毎日新聞2016年10月29日)
 
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<三反園知事>就任3カ月 「一生懸命走り続けた」 /鹿児島

 28日に就任3カ月を迎えた三反園訓知事。就任後初めてとなった同日の定例記者会見では、3カ月間を「とにかく一生懸命走り続けてきたという思い」と振り返り、「住んでよかった生まれてよかった鹿児島をつくるために今後も走り続ける」と決意を新たにした。
 三反園知事の記者会見は、7月28日の就任会見以来2回目。伊藤祐一郎前知事時代は会見終了時間の指定はなかったが、今回は「公務の都合」(広報課)で30分間だった。
 28日の会見は、九州電力が定期検査で停止している川内原発1号機を12月8日にも運転再開させる見通しのため、この問題に質問が集中。しかし、開始後30分近くたったところで広報課が「あと1問程度」と告げ、複数の記者が手を挙げたにもかかわらず、1問だけで終了した。
 記者から「時間制限は初めて。知事としての考えは」と問われると、三反園知事は「次の日程の都合と考えている。それに関しては柔軟に対応するので、検討していきましょう」と述べた。【杣谷健太】

 ◇川内原発運転再開に反対の市民団体、知事へ期待と不安交錯

 九州電力川内原発を巡り、三反園訓知事が運転の即時一時停止などを要請し実現した「特別点検」が始まって1カ月が経過した。定期検査中の1号機の運転再開は12月上旬の予定で、三反園知事の判断が大きな焦点となっている。ただ、28日で知事就任3カ月を迎えても、原発に反対する市民団体が求める知事との面会は実現しておらず、運転に反対する市民の間には期待と不安が交錯している。
 「定期検査後の運転再開をストップするため、三反園知事に力と勇気を送り届けましょう」。市民グループ「脱原発知事を支援する輪」の事務局(鹿児島市)、岩井哲さん(70)=同市=は9月末、三反園知事宛ての応援はがきの送付と応援バッジの購入をメールなどで仲間に呼びかけた。はがきには「子どもたちに素晴らしい未来を残すため、私たちも精いっぱい応援したいと思います!」などと三反園知事を支援する文言が並ぶ。
 注文を受け付けている岩井さんによると、これまでに県内で応援はがき約2000枚、応援バッジは約100個販売したという。岩井さんは「(イソップ童話の)『北風と太陽』でいうと、太陽の対応をしようと考えて作った。できることをやって結果を待つしかない。『太陽作戦』で本人の決断を促したい」と話す。
 岩井さんは、検討委設置の遅れについては理解を示すものの、「精一杯できる範囲のことをやった結果なら(運転再開しても)しょうがない。ただ、ギリギリまで、どこまで真摯(しんし)に追求するのか……」と不安もにじませる。
 薩摩川内市の市民団体「川内原発建設反対連絡協議会」会長の鳥原良子さん(67)は「慌てて検討委を作れとプレッシャーをかけるのではなく、見守りたい。県民の側に立ってくれることを期待している。応援できる限りは応援したい」と話す。
 一方、知事選立候補を取りやめ三反園氏を支援した市民団体「とめよう原発!かごしまの会」代表の平良行雄さん(56)は、三反園知事と面会できないことに不信感を募らせている。
 「(知事との面会は)一度もかなっていない」。10月6日、原子力安全対策課に検討委の早期設置を求める要請書を提出した平良さんは、残念そうな表情を浮かべた。
 三反園知事は7月10日の当選直後、「草の根で県民と対話する。県民の声に耳を傾け、声なき声にも耳を傾ける」と強調した。ただ、平良さんによると、三反園知事とは就任直前に一度会ったものの、就任後は一度も会えていないという。秘書課は「一義的に対応するセクションがあるので、(知事が面会するのは)必要に応じて」とし、伊藤祐一郎前知事時代と同様の対応と説明する。
 平良さんは「担当課の対応にしても、私たちが非常に粗末に扱われていると感じる」と憤る。また、知事の記者会見が3カ月でわずか2回という少なさにも疑問を感じている。「(会見は)県民に自分の考えを伝える機会なので、もっとあった方がいい。きちんと会見を開いて説明することが大事」【杣谷健太】

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