[2016_10_24_02]「原発 最後の選択、国民に8.3兆円の請求書」 『週刊東洋経済』10月22日号の特集 −優れているが1点だけ抜けている− 渡辺悦司 (市民と科学者の内部被曝問題研究会会員)(たんぽぽ舎メルマガ2016年10月24日)
 
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「原発 最後の選択、国民に8.3兆円の請求書」 『週刊東洋経済』10月22日号の特集 −優れているが1点だけ抜けている− 渡辺悦司 (市民と科学者の内部被曝問題研究会会員)

 『週刊東洋経済』の今週号(2016年10月22日)の特集「原発 最後の選択、国民に8.3兆円の請求書」は、事故処理や賠償について電気料金と税金によって国民負担が次々に膨らんで、結局20兆円になりかねないとして、事故を起こした東電と電力会社を保護しようとする政府・経産相・東電の政策を暴露しています。

◎同記事は、非常に優れた内容ですが、1点だけ抜けがあります。
 大島堅一氏が一言「モラルハザード」という言葉を使っていますが、残念ながらその内容を具体的に展開していません。
 モラルハザードとは、もともとは損害保険の用語で、保険により想定される事故をカバーすると、保険契約者が人為的に保険事故を発生させるような場合のことです。
 現在生じている「モラルハザード」の具体的な内容は、はっきりしています。
 事故を起こした東電の刑事責任も免責し、損害賠償も国と国民が肩代わりし、健康被害は一切認めず賠償から免責し、事故処理費用も廃炉費用も国民負担に転嫁し、原発を動かす電力会社の利益を政府が保障していけば、結局、「苛酷事故を起こしてもよい」という行動原理で電力会社が運営されるようになる、このような恐ろしい事態が現に再稼働をめぐって進みつつある、ということなのです。

◎『東洋経済』はここまで言うべきであったし、言わなければならなかったと思います。
 それでも、同記事の内容は、財界誌でもここまでは言うという意味で、役に立つと思いますので、皆さんぜひお読みください。

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