[2016_10_07_02]賠償・除染負担8兆円増 電事連 超過分国費を要望 福島事故(東京新聞2016年10月7日)
 
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賠償・除染負担8兆円増 電事連 超過分国費を要望 福島事故

 大手電力会社で構成する電気事業連合会は、東京電力福島第一原発事故に伴う賠償と除染費用に関する負担額が、これまでの計画を約八兆円上回るとの試算をまとめた。超過する分を国費で手当てするよう政府に非公式に要望した。費用は東電など大手電力が負担することになっており、国民の負担につながりかねず、政府は慎重に対応するとみられる。
 賠償と除染費用は、東電が国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」から資金の交付を受けて支払う。賠償に関しては、東電を含む大手電力が負担金を機構に納付し、除染は、機構が保有している東電株の売却益を充てる仕組みになっている。
 現在の見込み額は、賠償が五兆四千億円、除染が二兆五千億円だが、試算では賠償は二兆六千億円増えて八兆円に、除染は四兆五千億円増えて七兆円となる。賠償の対象者が想定より増え、除染の対象地域も拡大しているのが理由とみられる。さらに東電の株価が低迷し、売却益が一兆円程度、下振れすると見込み、合計で計八兆一千億円上回る可能性があるとしている。
 原発を持つ大手電力は二〇一五年度に、機構に対して一般負担金を計千六百三十億円支払った。このうち事故当事者の東電は五百六十七億円で、これに加えて特別負担金として七百億円を払った。関西電力の一般負担金は三百十五億円だった。四月からの電力小売り全面自由化による競争激化で、大手は収益環境が悪化しており、これ以上の負担の増加を避けたい考えだ。
 福島第一の事故処理費用は、このほかに廃炉費用も計画の約二兆円から数兆円規模で膨らむのが確実だ。経済産業省の有識者委員会が五日から事故費用負担や東電の経営改革の在り方に関して議論を始めた。

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