[2016_09_17_04]原子力規制委、玄海原発の審査終了 再稼働、年内にも「合格」か(佐賀新聞2016年9月17日)
 
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原子力規制委、玄海原発の審査終了 再稼働、年内にも「合格」か

 原子力規制委員会は16日、九州電力が再稼働を目指す玄海原発3、4号機(佐賀県東松浦郡玄海町)の審査会合を終了した。九電は3年余りに及んだ審査での指摘事項を反映させた補正書を9月中にも提出する。規制委はこれを精査して“合格証”となる「審査書」案の作成に入り、早ければ年内にも合格する見通しとなった。再稼働に向けた手続きは最終局面を迎える。
 九電の瓜生道明社長は本年度内の再稼働を目指すと表明しているが、実現は厳しい。審査に合格しても各施設の詳細設計に関する「工事計画」や運用管理体制を定めた「保安規定」の認可手続きが残っているほか、地元同意も必要になる。再稼働した原発はいずれも審査合格から1年程度かかっている。
 玄海3、4号機は2013年7月、新規制基準施行直後に審査を申請した。九電は15年夏に全国に先駆けて再稼働した川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内)の対応を優先し、玄海の審査は約1年間中断した。
 玄海の審査会合は65回、非公開のヒアリングが300回以上開かれた。規制委から項目ごとに新たな課題を指摘され、九電がその改善策を回答する繰り返しで審査が進んだ。
 特に時間を要したのが耐震設計の目安となる最大の揺れ「基準地震動」の策定だった。九電は他社と同様、東日本大震災前と同じ最大加速度540ガルで申請していたが、万が一に備えて活断層がなく震源を特定できない地震が直下で起こることも想定し、620ガルに引き上げた。最大規模の「基準津波」も約3メートルから約4メートルに修正した。
 申請当初、重大事故時の対策拠点である緊急時対策所を免震構造で建てるとしていたが、「成立の見通しが立たない」として耐震構造に変更した。
 安全対策コストは当初1千数百億円を想定していたが、現在の見積もりは2千数百億円に膨れあがった。昨年度までに既に約1350億円を支出している。
 最後の審査会合を終え、九電の中村明常務は「まだまだ(再稼働まで)先は長い。しっかりやっていく」と強調した。補正書提出を受けて規制委が審査書案の作成に入れば、川内1、2号機や伊方3号機(愛媛県)などに続いて6例目となる。
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