[2016_08_30_06]帰還困難区域 除染に国費「東電救済」 自民内、政府方針に異論(東京新聞2016年8月30日)
 
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帰還困難区域 除染に国費「東電救済」 自民内、政府方針に異論

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域のうち、最も放射線量が高い帰還困難区域の除染に国費を投入する政府方針に対し、自民党内で「事実上の東電救済だ」と批判する声が上がっている。環境省は二〇一七年度予算の概算要求に関連経費を盛り込む予定だったが、金額を明示しない「事項要求」とし、費用負担のあり方を引き続き議論することになった。 (宮尾幹成、大野暢子)
 帰還困難区域は福島県の七市町村にまたがり、滞在が原則認められていない。除染も手付かずだ。政府は五年後をめどに同区域の避難指示解除を目指し、洗浄や表土はぎ取りなどの除染に加え、線量の低下につながる公共事業を計画。具体的には、区域内に「復興拠点」を設けるための建物解体・撤去や土壌入れ替え、道路の基礎整備・舗装を想定している。
 国・地方自治体は、過去五年間に実施した避難指示解除準備区域や居住制限区域などの除染に要した約一兆八千億円のうち約七千億円を東電に請求したが、支払われたのは四千八百億円余にとどまる。除染を国が公共事業として行うことになれば、さらに巨額の国費投入につながりかねない。 このため、二十二日の自民党・東日本大震災復興加速化本部の会合では、河野太郎前行政改革担当相が「東電に負担を求めるのが基本だ」と反発。秋本真利衆院議員も「知らない間に国民に負担させるのは絶対に駄目だ」と述べた。額賀福志郎本部長が「今後の議論とする」と引き取り、公明党の復興加速化本部と合同で安倍晋三首相に提出した提言では、費用の負担方法は明記しなかった。
 提言は「除染とインフラ整備の一体的かつ効率的な実施」との表現を残した。額賀氏は「計画分は東電負担が当然だが、計画外のことはこれから検討する」と国費投入を否定していない。

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